ただし、より多くの状況で適用が認められているからといって、キイトルーダがオプジーボより優れている、というわけではない。兵庫県立がんセンターの里内美弥子氏が強調する。
「それぞれの薬を直接比較したデータはありません。適用範囲の差は、薬の効果を確かめるために行なわれた臨床試験の設定の違いによる結果の出方の違いであることも考えられます。キイトルーダの適用範囲には胃がんが含まれていませんが、胃がんに効果がないと科学的に証明されたわけではないのです。開発の早い遅いや治験の設定などで結果が変わってしまった可能性もあります。
これらの免疫チェックポイント阻害薬で、現在適応症ではない女性特有の乳がんや子宮がんでの治験も行なわれ、期待の持てる結果が出てきています」
2つの薬はいずれも、“これから”がある薬なのだ。前出・松井氏もこういう。
「大腸がんや膵臓がん、食道がんなどでも臨床試験が進められており、今後さらに範囲が拡大していくことが期待されています」
◆30分~1時間かけて「点滴」投与
日本国内には、規模の小さいクリニックや診療所を除き、約7500か所の民間病院がある。そのうち、製薬会社が定める要件を満たし、オプジーボが使用できる病院は、約800か所。専門医が在籍し、緊急時対応ができる施設に限られるという。キイトルーダも、これに準じた形式になる。