タイムリミットは迫っている。代表選考の規定上、来年6月の全日本選抜選手権で勝たないと東京五輪出場は叶わない。「伊調が練習を再開してから、復帰戦まで約半年かかった」(スポーツ紙記者)ことからも、年内には“決断”が必要だろう。
ファンとしてはぜひ見たい一戦だ。2人が公式戦で最後に対戦したのは2001年の全日本選手権(56kg級)。勝利を収めたのは吉田だったが、伊調はまだ高校生だった。2人が世界の頂上を経験してからの対戦はない。
レスリングのスタイルを考えても、“直接対決”は盛り上がること必至だ。
「伊調選手の真髄は、連続した技の展開にある。相手の攻撃を受けても崩れずに技を繰り出すテクニシャンタイプです。一方、吉田選手はタックル一発で試合を決めるような、華のある一点突破タイプ。まさに好対照です」(前出・宮崎氏)
試合開始からしばらく、タイミングを窺っていた吉田が、伊調の片足を取って仕掛ける。しかし、伊調は簡単に倒れず、反撃の技を──そんな手に汗握る展開になるかもしれない。
醜聞に揺れたレスリング界の人気回復のために、ぜひ“決断”を。
※週刊ポスト2018年11月9日号