かつての渋谷は、ギャルの聖地とされた「渋谷109」やメンズ版「渋谷109‐2」、他にも多くのギャル、ギャル男向けアパレル店、雑貨店があふれかえっていた。その後「H&M」や「FOREVER21」に代表されるファストファッション店が出店しだすと、様々な意味での「渋谷らしさ」は消えていった。生まれも育ちも渋谷区内で、三年前まで、「渋谷109‐2」のアパレル店で店長をしていた牧野勇作さん(仮名・27歳)も、次のように述解する。
「少なくとも7~8年位前までは、日本代表の試合もハロウィンも、まだ渋谷の人たちだけが楽しんでいた、という印象でした。行けば誰か知り合いはいるし、そりゃ喧嘩とかはあったけど、今みたいに無分別ではなかった。昨日(27日土曜日)も渋谷に行ってみたのですが、堂々と痴漢している奴もいれば、若い女の子のパンチラ撮ってるおじさんに、AV撮影のクルーまで。喧嘩は以前より少ない印象ですが、なんというか、昔の渋谷にはいなかったような、ダサい…いや、田舎者が多い印象です」
センター街近くの路上に駐車された他県ナンバーの改造車から「EDM」と呼ばれる若者に人気のジャンルの音楽が大音量で流れると、酒に酔っぱらっているものの、垢ぬけない風貌の若者たちがわらわらと集まり、盆踊りというかタコ踊りというか…何とも言えない奇妙なダンスを披露した。彼ら、彼女らが「田舎者」であることは、確かに一目瞭然だ。
渋谷センター街でアパレル店を営む別の男性も、最近の渋谷でのハロウィン騒動にはこう苦言を呈す。
「以前はハロウィンと言えば“商機”でしたが今は違う。店先の商品は盗まれるわ、酔っ払いが絡んでくるわ、とても普通に店を開けていられない。三年前から、ハロウィン期間は営業を早めに切り上げたりしていますが、今年も閉めていたシャッターに吐しゃ物が残され、脇の路地では朝まで男女が酔い潰れて寝ていました。
若くて調子に乗ることは誰でもあるだろうが、昨日渋谷に集まっていたのは、単なる暴徒。一人一人は、どうしようもない田舎者なのに、みんなで騒げば怖くないという連中でしょう。昨晩だけじゃない。ハロウィンの前後一週間は、普段渋谷に縁のないような連中が面白おかしく集まってくる。もう本当に勘弁してほしいんだよ…」
本当の「渋谷人」達が吐露する「ハロウィン騒動」への本音。渋谷駅周辺は近年、大規模な再開発事業が進み、グーグル日本法人が本社屋を構えるなど、新たな街づくりが進んでいるのだが、一方で、無責任な暴徒たちが集う街としての「汚名」を着せられている。31日も、そして来年もまた、彼らが泣きを見ることになるのか。