穏やかなとうさんの熱い愛情(絵本『ごりらかあさん』より)』
「息子と仮面ライダーのショーを見に行った時に、ぼくがファンのかたにサインをお願いされたことがありました。すると息子が『パパと一緒に来てるんだから、邪魔しないで!』と駄々をこねたことがあって…ぼくは息子に『あなたが嫌な子だな、わがままだなって人に思われたら、それがパパにはいちばん悲しいことなんだよ』って伝えました。
ごりらかあさんがこたろうに言った『かあさんはね、あなたが やさしいこなのに ちがうって おもわれるのが いちばん やなことなのよ かあさんね、あなたが なにしようと せかいいち だいすきよ』というセリフは、まさにぼくが息子に言った言葉なんです」
2児の父として、育児を経験するのぶみさんは、もう1つ、あるメッセージを絵本の中に隠している。それはこの絵本を子供に読み聞かせする親御さんらに向けて綴ったもの。
「あとがきにかえて、『ごりらかあさんの詩』を載せました。これは、ごりらかあさんの心の声なんです。断乳したり、幼稚園に行かないって泣いたり、育児中は子育てが全然うまくいかないって悩む親も多いけど、でも、いつか結婚して自分の元から巣立っていく時、大変だった子育ても素晴らしかったなと気づくんだろうなって」
その詩は、のぶみさんから読者への熱いメッセージ。絵本の裏見開きに書かれているので、本編を読んだ後、ぜひ味わってほしい。
◆アンチの人も『ごりらかあさん』だけは好き
今までは、どちらかというと、今の時代を生き抜く“ママ”像を描いてきたのぶみさん。忙しく働きながら子育ても頑張るママたちの気持ちを事前にしっかりリサーチし、取材した生の声を物語へと昇華して数々のベストセラーを生み出してきた。その手法には、ネット上で否定的な声があがることもあったというが、『ごりらかあさん』は、世間の反応が今までとやや異なると話す。
「ぼくのインスタグラムに、『彼女とコインランドリーに行ったら、女性セブンが置いてあって、二人で読んで泣きました』ってメッセージをいただいたり、『ごりらかあさん大好きです!』と言われることが多いんです。
ぼくの絵本が苦手というアンチの人も『ごりらかあさんだけは好き』と言ってくれる。みんなに愛されるキャラクターなんです」