のぶみ作品では、今までたくさんのママが描かれてきた。どの作品に描かれるママも泣いて笑って懸命に生きている。そんな母親像こそ、のぶみ作品を支える真髄でもある。そんな中、『ごりらかあさん』だけが異質なのには理由があった。
「今までは、子供へ読み聞かせをする母親に共感してもらうため、こういうママいるよねっていう一般的な母親像を描いてきました。今のお母さんたちって、母親でありながら、女性らしさも捨てず、スタイリッシュにおしゃれに自分らしく生きたいっていう人が増えている。
でも、ごりらかあさんは、一般的ではない“ごりらみたいなお母さん”なんですよね。“ママ”ではなく、昭和の母親。『母ちゃんがいるから大丈夫だ!』『母ちゃんに任せとけ!』ってドンと構えていて、頼りになる。自分を愛してくれる絶対的な存在。小さい頃、お母さんって最強な気がした。お母さんならきっと何でも解決してくれるって。
だから読んだ人は、自分にもそういう人がいたなって、どこかで自分の母親のことを懐かしく思い出して、あったかい気持ちになるのかもしれません。今までは子育てしているママの物語だったけど、これはもっと大きな誰かを懐かしむというか、思い出すというか…。お母さんと過ごした日々、何かそういうあったかいゴツゴツした感情。そんなものを感じてくれるとうれしいですね」
最後に、ファンのかたがたへメッセージをもらった。
「今の段階では笑われるかもしれないけど、ぼくの代表作となって国民的キャラクターになるといいなって本気で思っています。どんな状況の人でも、疲れている人でも、落ち込んでいる人でも、ダメダメになっている人でも、この絵本を読むと元気になるはずです。ごりらかあさんは誰に対しても本気で向き合って、認めて肯定してくれる。みんなの母さん、みんなのヒーローなんです」
子供はもちろん、大人が読んでもグッとくる絵本『ごりらかあさん』。秋の夜長にたまには絵本をめくってみてはいかが?
※女性セブン2018年11月15日号