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2018.11.10 07:00  NEWSポストセブン

米中間選挙にみる トランプ大統領の「予言の自己成就」

 だが、トランプ大統領の「成功」発言はあながち間違っていないように思う。議会がねじれ状態になったといっても、オバマ大統領の時もねじれていた。米国議会でねじれは珍しいことではない。また、下院の民主党では先住民族やイスラム教徒の女性議員らが初当選したことで、移民や同性愛問題に関する論戦が激しくなるだろう。反論が強まるほど世間の関心が高くなり、大統領にとっては自分の意見をはっきり言える機会が多くなったといえる。

 さらに、選挙期間中を振り返ると、共和党では異変が起きていた。候補者が相次いでトランプ大統領の過激な論調を真似る「トランプ化」が進んでいたのだ。共和党支持者の中でもトランプ大統領を支持する層は、より支持を強めたとも言われる。結果、トランプ大統領はこの中間選挙で、共和党内での勢力を益々強めることになった。

 加えて今回の選挙では、セレブたちが民主党の支持を表明し、投票に行くよう呼び掛けるという、民主党の「応援合戦」まで起きた。ハリウッド女優のシャリーズ・セロンが、電話で投票を呼び掛けるテレビ番組まであったというから驚きである。そんなこともあって中間選挙への関心は高く、過去最高の投票率になったようだ。良くも悪くも大統領は存在感を強めている。

 ここまで書いて、はた!と思った。もしかしてこれはトランプ流「予言の自己成就」ではないのか。予言の自己成就とは、経済学者のロバート・マートンが指摘した現象だ。たとえ誤った予言でも、人がその予言を信じ、それに基づいて行動すると、その予言が実現してしまうことをいう。

 よく使われる例は銀行の取り付け騒ぎだが、マートンが事例として挙げた中には、「2国間の戦争」や「黒人排斥」などがある。2国間で戦争が避けられないと思い込むことにより、不安を抱いた2国が軍備を拡張した結果戦争が起きてしまう、白人が「黒人は問題を起こす」「黒人に雇用を奪われる」などと思い込み黒人を社会から締め出してしまう、といったことだ。トランプ大統領は、これまでにもこの現象をうまく使って世論を動かしてきた。

 トランプ大統領は就任演説で、「アメリカファースト」を掲げ、アメリカは再び強い国になると予言した。この予言の前提は、トランプ氏が大統領であることだ。大統領になった時から再選を目指している彼は、自分が再選され大統領を続けることでこの予言を自己成就できる。予言者の影響力が強いほど、予言は実現する可能性が高くなる。その意味で、存在感と影響力を誇示できた今回の選挙は大成功。

 トランプ支持者は、共和党、いや民主党支持者さえ意図せずに大統領の予言の自己成就に向けて動かされていたようだ。トランプ大統領おそるべし。

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