すると熊田に対し、バッシングが発生するのだ。「ルールは守れよ」というド正論に加え、「大人一人で管理できる人数でルール作ってるんだろう? 少子化の問題とは全く別だよ 子供の安全性の問題」という意見も。「ルール」を出されたら黙るしかない。熊田の件は一つの問題提起にはなったものの、「無料の施設のルールに文句とか頭狂ってんの?」という意見も見られた。
さらには、ルールができた背景を施設の側に立って考える者も出た。公の施設が作ったルールなのだからそこには合理性がある、という考えで、モンスターペアレントから身を守るには仕方ない、という理解だ。そこまで「公」と「ルール」は大切なもので、不具合に対して声を挙げると叩かれるという状況がある。しかも、5年前の「ペニーオークション詐欺事件」(*)まで何度も取り沙汰され、「ペニオク詐欺の謝罪をしなかった代償」などと叩かれる。
【*2010年、ほぼ入札ができないネットオークションの形態「ペニーオークション」で商品を落札した、という偽情報を業者から謝礼をもらってブログに書いていた騒動のこと。熊田以外にもピース・綾部祐二、小森純、ほしのあき、永井大らの名が上がった】
熊田は「完全に私のミスです。やってしまった。娘達よごめんなさい」と述べたうえで、事前確認の重要性を示した。ネットではルールに異議を呈するのではなく、ルールを知らなかった自分が悪い、という形でしか不満を表明しづらくなっている。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2018年11月23日号