萬平だけではなかなか生活が立ちゆかない。世良は販売力があっても、売るものが作れない。商品がなければ力を発揮できない。萬平がいてこそ、世良。世良がいてこそ、萬平。長谷川博己さんと桐谷健太さん、まったくタイプの違う、しかも脂の乗りきった役者同士がガチンコ勝負。このドラマの大きな見所であり魅力でしょう。

 考えてみれば、人はみなそれぞれ別の資質を持ち別の役割を担い、お互いを必要としながら生きていく。どちらが欠けても回っていかない補完関係によって、人生が輝く。2人の組み合わせはドラマの究極のテーマにも通じるようです。

 世良はそもそも萬平の優れたもの作りの才能に圧倒され、「作る方」から「売る方」に転身した人でした。今のところ詐欺師のような悪辣さも見え隠れしますが、自分だけ得するという着地点ではなく、お互いが得するところをさぐり出すWIN WINの関係にまで物語を昇華させていってほしい。

 萬平の純粋無垢な追求力と、世良の商売を楽しむ力、二つの力が掛け合わされるところに希望が生まれる──朝ドラに「希望」はよく似合います。

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