あらためて考えてみれば、日本のテレビドラマは登場人物の感情や心理、人間関係を細かく描いたり、事件の秘密・謎を解くといったいわばストーリー・筋立てが中心の作品が多かった。それはそれで大切な土台ですが、『昭和元禄落語心中』のように、加えて落語芸という「外」のアイテムを丁寧に慎重に上手に取り込めば、大きな飛躍が生まれる。こうしたアプローチ、ドラマ界に新風を吹き込む可能性もあるのではないでしょうか。
……と書いているさなか、ディーン・フジオカさんが再び世界的名作のドラマ化に挑戦、というニュースが流れてきました。来年1月6日のスペシャルドラマ『レ・ミゼラブル』(フジテレビ系)。ディーンさんと世界的名作といえば、今年4月に放送された連ドラ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』を思い出します。19世紀の小説・デュマの『巌窟王』をベースにして、舞台を平成の日本に置き換えるという独特の外連味たっぷりの手法で、素晴らしいドラマに仕上がっていました。
来年の『レ・ミゼラブル』も前回と同じ制作スタッフが揃い、19世紀の世界的名作の現代ドラマ化に挑むらしい。また新たな「外連」的手法による秀作が生まれることを、心から期待します。