中川:マスを相手にする媒体は、月並みな言い方にはなりますが、いいコンテンツを作るしかないと思うんですよ。最近「『橋祭り』やらせ疑惑」でケチをつけましたが、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)なんて、今でも視聴率20%を超えることがあります。今回「やらせはいかん!」と激怒する人が多いのかと思ったら、番組のファンからは「面白いからそれはそれでいい」なんてコメントがけっこう多く書かれているんですよね。だとしたら「この場所に来たけど、祭りがないので、『橋祭り』という祭りを地元の人と一緒に作りました」なんて言ってしまえばいいんですよ。今や週刊誌に加えてネットもあるから嘘はすぐにバレる時代になっていますので、より誠実に面白いものを作るしかないのでしょうね。(完)
◆橘玲(たちばな・あきら):作家。1959年生まれ。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『(日本人)』『80’s』など著書多数。
◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):ネットニュース編集者。1973年生まれ。『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』『縁の切り方 絆と孤独を考える』など著書多数。