中川:今、ネットでも著名人や文化人的な人々が今そういう動きを見せていますね。元々ツイッターとかが主戦場だった人たちが、どんどんオンラインサロンを作り始めています。ツイッターのフォロワーはもういいやという感じで、毎月1万円を払う人だけを相手にするビジネスを展開し、自分のことを支持する人だけを集めて“ユートピア”を作るという方向でお金をガンガン稼ぐという流れです。となれば、有象無象が暴れまわるツイッターはそこまで積極的にやらないでも良いかな、といった考えになっていきます。
橘:サロンでコアなファン層を囲い込めるなら、顧客になるかどうかもわからないマスを相手にするよりぜんぜんいいいかもしれないですね。ある程度のリテラシーがある人だけが集まって、そのなかで知識を分け合うような、自分たちが居心地の良いコミュニティ、いわゆるサバーヴィアンを作っちゃえばいいと。
中川:「NewsPicks」が日経新聞に出した全面広告が炎上したじゃないですか、「さよなら、おっさん。」というコピーです。あの意図はまさに橘さんがおっしゃったところにあって、「オレはおっさんじゃない!」という人だけを集めることによってロイヤリティを高めようとしたようです。そこで言う「おっさん」というのは年齢のことではなく、「古い価値観やシステムに拘泥し、新しい変化を受け入れない」「自分の利害のことばかり考え、未来のことを真剣に考えない」「フェアネスへの意識が弱く、弱い立場にある人に対し威張る」ような人だといいます。
橘:一貫してますよね、戦略的に。
中川:ただ、ターゲットとしている層からも、お呼びでない層からも、両方から叩かれたようですが……。
◆日大問題がなぜあそこまで注目を集めたのか
橘:マスを相手にする必要がなくなってきた、ということで言えば、ツイッターのフォロワー数にどんな意味があるのかも分かりにくい。もちろん堀江(貴文)さんのように300万人のフォロワーで大きな影響力をもつひともいますが、これは少数派で、最近は出版社の編集者も、「フォロワーがぜんぜんいないのは問題外だけど、たくさんいるからといって本が売れるわけじゃない」といいますから。