集客と新規勧誘が大事だというイベサーの活動内容は、まるで繁華街に立っている呼び込みビジネスのようだ。サークルの組織のあり方もそれに近いところがあると、東京六大学出身の元イベントサークル幹部で音楽出版社社員・M氏は言う。

「マルチ商法のように、親サークルに子サークル、孫サークルと複数のサークルが繋がり合ってピラミッド状の組織になっていることもある。そのトップには、たいてい会長とか代表とか言われる人が君臨している。ピラミッドの上へ行けば行くほど、下からお金が納められるようになっている。まるで上納金です。ヒエラルキーの上にいるサークル幹部やメンバーほど儲かるから、ヤクザのシステムや、ねずみ講のシステムによく似ていると思いますよ」

 M氏が言うようなシステムは現在でも主流だというが、何年も続いている悪質なイベサーの場合、サークルの実情を慎重に調べたり、先輩から噂を聞いている大学生には、システムのからくりがバレている。そのため、狙い目は新学期が始まる少し前。SNSでリサーチしてDMを送るなどして勧誘する。

「いまはツイッターやインスタがあるので、時期に関わらず毎日勧誘できますよね。でも、新学期の4月には、SNSのプロフに“春から○○大学”と書いている子を狙う。その子が田舎の出身で東京に憧れているような書き込みをしているなら良し、かわいい女の子ならなおさら良し(笑)」(O氏)

 中高生のツイッター利用の特徴のひとつに、進学が決まると入学前に新しくアカウントをつくり、新入学予定の仲間との繋がりを呼びかけるという行動がある。彼ら彼女たちのSNSにおける習慣と、何か新しい世界をのぞいてみたいという好奇心と、世間知らずな無知につけこんで、巧妙にサークルへ取り込んでいるのだ。大学生の新メンバーを勧誘できるタイミングが限られているからだろう、最近は大学生にこだわらない広がりを持たせているのだと、O氏は続ける。

「大学生や専門学校生だと(事情を知られていて)厳しいから、高校生メインの配下サークルを作ってイベントやらせたりする。さらに、高校生は中学生メインの配下サークルを作らせる…。ほんとヤクザとか派遣会社の仕組みと一緒ですね」

 彼らのつくるピラミッド構造と、イベントを媒介にしたお金の動きは、法律違反すれすれのように聞こえる。犯罪者になってしまうかもしれない恐怖はないのか?

「悪いことをやっているとは思わない。パー券(パーティー券)を売っているから(法律で禁じられている)ねずみ講には当たらないし、要は自身がいかに上に近いポジションでスタートできるか。長く頑張れば、必ずその(会長や代表の)ポジションに行けるから、夢もあります」(O氏)

 現在のところ摘発は受けていないが、たとえパーティー券の販売であっても、その販売方法や手段によっては、違法だと責任を問われる可能性は消えない。実際、勧誘の言葉にマルチまがい商法と変わらない言葉を聞かされた学生もいる。だが、危うさよりも、目に見えてまとまったお金が稼げることと、組織のピラミッドを駆け上がる快感の魅力が上回っているようだ。そのため、早稲田や慶応など難関大学に入学しても、勉強だけでなく就職までおざなりにして、イベサー活動にのめり込む学生は珍しくない。

「逮捕された(日大イベサーの)奴らも、年中勧誘ばっかやってた。彼らから俺のところにも”サークルに興味ない?”ってライン来ました。誰にもの言ってんだって揉めそうになりましたね(笑)」(O氏)

 O氏が語るイベントサークルのような仕組みは、常に新しい参加者を補い続けなければならない。実際に勧誘するメンバーにとっては、かなり負担が大きいはずだ。それでも熱中する人が次から次へと現れるというのは、ほとんどが大学未公認団体であるにも関わらず、就職などで強みを発揮するからなのだろうか? 前出の、六大学のイベサー元幹部・M氏は「アピールポイントになることもあります」と言う。

「イベサーで儲けた子は、それを入社試験でアピールしたりするんです。人の勧誘は営業につながるし、イベントの運営はマネジメントにもつながるという理屈です。確かに、そういえば聞こえはいいけど、所詮は“ごっこ”。チャラい奴も多いし、事件も起こすから、イベサー出身者は白い目で見られることも多いですね」

 サークルOBの活躍は、現役学生たちからはどう見えているのか。現役イベサー幹部のO氏は、少し考えてから「幹部クラスだと、まともに就活やってる人は少ないですね」と、大学生であることを辞めづらい実情もあると言う。

「大学卒業してもサークルに関与し続けたり…。とあるサークルでは、辞めた幹部が会員制化粧品の会社に就職したらしく、メンバーに化粧品を買わせていたり、代理店に依頼された現役幹部がメンバーに青汁売ったり…。メリットは…幹部が儲かることくらいですかね…」

 金儲けではなく、大学生ならではの探究心や社会貢献などを目的とした真面目なイベントサークルももちろん、存在している。期待に胸を膨らませて学生生活を夢見る新入生や、真面目なイベントサークルが不利益を被らない日が、一日も早くくることを願う。

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉県の工場でアルバイトをしていた
【ホテルで11歳年下の彼を刺殺】「事件1か月前に『同棲しようと思っているの』と嬉しそうに…」浅香真美容疑者(32)がはしゃいでいた「ネパール人青年との交際」を同僚女性が証言
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン