中等少年院での生活を振り返る戦慄かなの


「スマホもないしテレビも自由に見られない中で、勉強と読書だけが楽しみでした。本は小説から心理学の本まで、置いてあるものなら何でも読みました。本当は1週間に3冊までしか借りられないんですが、あまりに夢中だったので上限なく貸してもらえるように。1日3冊のペースで読んで、ノートに感想をつけて…少年院にいる2年で3000冊近く読んでいました。印象深いのは、東大出身の加藤諦三さんが書いた『自分に気づく心理学』です。退院後にすぐ買って、今でも何度も読み返しています」

 危険物取扱者、そろばん検定、ワープロ検定の資格を取得。学ぶことに目覚めた彼女は入院中に高卒認定試験にも合格した。

「数学が全然ダメだったけど、猛勉強をして2度目の挑戦で合格しました。少年院では自分が勉強したいと思ったから、気持ちのノリ方が違った。暗記が得意で、英単語や漢字は見るだけで覚えられるとわかったのも、少年院での勉強がきっかけ。空き時間があれば机に向かって、トータルで1日5時間ほど勉強していました」

 2016年5月、少年院を退院。およそ2年ぶりに社会に復帰した。退院から2年半。現在のかなのさんは3つの顔を持つ。

 1つめは現役の大学生。薬局の事務員などをしながら個人塾で勉強を続けて、見事有名私立大学の法学部に一般入試で合格した。

「少年院で芽生えた夢の1つが、法律の勉強をすることでした。法務教官だった恩師の影響もあるし、虐待経験のある子供たちを支援するためにも、法律の知識が必要だと思っています」

 2つめはアイドル。スカウトをきっかけに地下アイドルの活動を始めた。講談社主催のオーディション「ミスiD2018」の最終審査では少年院出身であることをカミングアウト、「サバイバル賞」を受賞した。現在は異色の経歴が大人気で、メディアに引っ張りだこだ。

 そして3つめが、「いちばんやりたい」と彼女が打ち明ける児童支援活動だ。かなのさんは、育児放棄や児童虐待された子供たちをサポートするNPO法人「bae(ベイ)」を立ち上げた。

「昔の私と同じ思いをしている子供たちの力になりたいんです。虐待されている子は自分から助けを求めることが難しいので、周りの大人が気づいて手を差し伸べることが大切です。少年院に入っていた子たちのサポートもしていきたい。少年院送りになる子は、家庭関係に問題のあるケースがほとんどで、少年院で初めて自分を理解してくれる大人と出会って変わったものの、退院後に社会になじめず、表社会からドロップアウトすることが多い。そうした人たちの支援もやっていきたいです」

※女性セブン2018年12月13日号

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