今年8月から約4割の店舗で平日の閉店時間を早くした一方で、土日の開店時間を早めた。客単価が高い時間帯の営業を減らし、逆に客単価が安い“昼呑み客”を狙うという戦略は、従来の居酒屋チェーンの常識に逆行する動きにも見える。
さらに、サイコロの目によってハイボールが無料になる“チンチロリン”など個性的な割引セールを常設することで、客単価はより一層下がっている。
実際、同社が発表した今年8月の調査によると、客単価は約2350円と、前年同月比に比べ2.1%も落ちている。これは大手居酒屋チェーンと比較しても700~1000円ほど安い水準だが、「1串108円均一セール」などキャンペーンを打ったことで、客数は12.1%増、売上高も9.7%増となっている。再び貫社長が語る。
「客単価を上げても、来店客が少なくてはあらゆる販促策の効果が弱まると考えています。だから客単価よりも客数と回転率を重視する。ただし、メニューの原価率には気をつけている。原価率3割を絶対の基準として死守しています。
利益を削るほどの安売りをすると、しわ寄せは従業員にいくし、サービスのレベルが下がる。お客さんからの評価も下がるという負のスパイラルに陥る。串カツの調理に必要なのはパン粉を付けて揚げる技術だけなので、ほかの居酒屋と違って料理人に高いお金を払わなくてもアルバイトをトレーニングすれば店を回すことができるんです」
サービスのレベルを維持できる値段設定を冷静に見極めているということだ。
※週刊ポスト2018年12月14日号