では、定番中の定番曲「ホワイト・クリスマス」「ザ・クリスマス・ソング」「ウィンター・ワンダーランド」は? 意外に思う方も多いかもしれないが、これらはみな(3)の「ポップス」に含まれる。
「ホワイト・クリスマス」はアメリカのソングライター、アーヴィング・バーリンによる作詞・作曲で1942年に発表された。ビング・クロスビーがヒットさせ、累計の売り上げが推計5000万枚という世界一のヒット「ポップス」なのである。そして、「ザ・クリスマス・ソング」はジャズ・ヴォーカリストのメル・トーメらが1944年書いた曲で、「ウィンター・ワンダーランド」は1934年のヒット曲。いずれも冬の情景を歌っているが、歴史ある前2項とは明らかに違う方向の歌だ。いまや定番クリスマス・ソングといえる「ママがサンタにキスをした」は、若きマイケル・ジャクソンが歌ったモータウン・ヒット。タイトルからもわかるように、まさにクリスマスをネタにしたポップス。日本のポップスでは、山下達郎の「クリスマス・イヴ」がこのタイプに分類される。
この中にもうひとつ枠を加えるなら、「子供向け」がある。よく知られる「サンタが街にやってくる」「赤鼻のトナカイ」「フロスティ・ザ・スノーマン」がそれ。「サンタが街にやってくる」は、「サンタはよい子だけにプレゼントを持ってくる」という歌詞の、教育的指導満載の1934年のヒット曲。ほかの2曲はいずれもキャラクター・ソング、今でいうアニソンである。「赤鼻~」は人気絵本キャラのトナカイ「ルドルフ」の歌で1949年にヒット。そのヒットを意識して翌年に書かれた曲が「雪だるまのフロスティ」で、こちらも大ヒット。「フロスティ」はのちにアニメ化もされている。
さらにウンチクをもうひとつ。「そうだ京都、行こう」のCMで知られる「マイ・フェイヴァリット・シングス」もクリスマス・ソングとして歌われているが、この曲はクリスマスとはまったく関係がない。これはもともとはミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の挿入歌なのだが、毛糸の手袋やプレゼントの包みといったクリスマスを連想させるアイテムが歌詞に列挙されることから、クリスマス・ソングとして歌われるようになった。