野尻克己監督の家で実際にあったことをもとにしているという(脚本も野尻監督)。自身、つらい状況を笑いで乗り切ったのだろう。
生前、長男はソープランドに通っていた。そこで「イヴちゃん」という女の子と知り合った。引きこもりの長男が唯一、会話の出来た女の子だった。それを知った父親が「イヴちゃん」に会おうと、何度も不慣れなソープランドに通うのが滑稽で、同時に切ない。息子に何もしてやれなかった父親の悲しみが伝わってくる。今年の日本映画の大きな収穫。
●文/川本三郎
※SAPIO2018年11・12月号