その境遇はかつてのアイドルホース、オグリキャップと重なる。地方競馬である笠松競馬場でデビューしたオグリキャップは地方で勝ち続け中央競馬に移籍。その後も重賞やGIを勝ち、ラストランとなった1990年の有馬記念では、中山競馬場でファンの「オグリ」コールが起こった。
「地方馬で三流血統だったオグリが中央のエリート馬たちを負かす姿にファンも熱狂した。オジュウチョウサンも一度『平地失格』の烙印を押されながら障害で勝ち続け、平地に戻ってきた。挫折や左遷を経験した人は自分の境遇と身を重ねているのでしょう」(同前)
今年は有馬記念を視野に入れ、平地に戻り2連勝。手綱を取ったのはオグリに騎乗して有馬記念を制した武豊だ。長山オーナーはすでに有馬記念での騎乗を武に依頼済みで、お膳立ては着々と整っている。
「平地を走ってきた一流クラスとは初対決で、厳しい闘いになるが、舞台はオジュウチョウサンが障害GIで5勝と最も得意としている中山競馬場という強みもある」(同前)
この馬に平坦な道のりは似合わない。
※週刊ポスト2018年12月14日号