国内

「殺処分ゼロ犬シェルター」裏の顔、動物虐待の実態明かす

ピースワンコへの告発に名を連ねる杉本彩(撮影/田中智久)

 ゲージの中をフサフサの毛並みで元気よく動き回る犬たち。そのかわいらしい鳴き声に、訪れた子供たちはつられて笑顔になる。その様子を見ていたタレントのぺこ(23才)とりゅうちぇる(23才)は飛び上がって喜んだ──。

 これは、2017年4月に放送された、人気のバラエティー番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)の名物企画「捨て犬ゼロ部」。保護犬たちが里親を探す譲渡会の様子だ。ふたりが訪れたのは、広島県の神石高原町にあるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」が運営する “殺処分ゼロ”プロジェクト「ピースワンコ・ジャパン」の本拠地。清潔な施設の中で、保護された犬たちは元気いっぱいに走り回っている…はずだった。

「テレビに映ったのは施設のほんの一部だけ。ピースワンコ・ジャパンは大きく広島県内で4つのシェルターに分かれており、前出の施設は誰もが見学できるうえ、里親が見つかりそうなフレンドリーな犬ばかりを集めた、いわば“表の顔”。公開されていない施設では、狂犬病の予防注射すら打たれず、狭い檻の中で悲鳴を上げる保護犬たちがいたんです」

 怒りに震えながら話すのは、昨年6月から今年1月まで、獣医師としてピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)のサポート活動をしていた竹中玲子先生だ。

 竹中先生が指摘する通り、11月20日、広島県警は「ピースウィンズ・ジャパン」と代表らを書類送検した。保護犬25頭に狂犬病の予防注射を受けさせておらず、狂犬病予防法や県の条例違反の疑いがあるという容疑で、代表らはこれを認めている。

 竹中先生は「同団体が抱えている問題はこれだけではない」と続ける。

「私がいた保護施設は劣悪な環境で、多くの命が次々に失われていきました。カメラが回っていないところでは、動物虐待が起きていたのです」

 内部からの声を受け、複数の動物愛護団体が動物愛護管理法違反でピースワンコを告発。その内容は、狂犬病の予防注射の未接種だけでなく、劣悪な飼育環境かつ、職員の絶対数や器具が足りず充分な処置ができていないことなど、あまりにも悲惨なものだった。

 なぜ犬たちにとって保護されるべき場所が生き地獄と化したのか。実態を知る竹中先生と、動物愛護活動に長年携わり、今回の告発に名を連ねる杉本彩(50才)が語った。

◆赤ちゃん犬が飢えた犬に食べ散らかされる

竹中:「犬の殺処分ゼロ」を看板に掲げるピースワンコは、毎週のように広島県の保護施設から犬を引き取るから増えていく。6月時点で団体が管理する犬は2300頭。

杉本:国内では類を見ない収容規模ですね。それだけの頭数に対し、面倒を見るスタッフは何名いるのでしょうか?

竹中:4つのうちの1つのシェルターでは当時1400頭いて、スタッフは7~8名だったので、1人のスタッフが約200頭を世話する計算でした。また、常勤の獣医はたった1人。収容数も限界で、約10畳の広さに20頭以上の中型犬が収容されている部屋もありました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン