人間が選んだ「今年の1枚」


「テレビCMの評価に使われています。今まではインタビューやアンケートを書いてもらっていましたが、人のバイアスがかかってしまうので、本当のメッセージが伝わっているかどうか分かりませんでした。この技術は脳から無意識の部分も含めて取り出す技術なので、より効果的なコンテンツを消費者に届けることができます。まずは広告主さんや広告調査をしている会社さんなどに使っていただいています」

 ちなみに、このAIの元データは日本人から抽出されているという。今回は“日本人のマスが選ぶ1枚”という視点で選ばれたが、男性や女性、年齢層による好みを反映させて、例えば「20代の女性が選ぶ1枚」とセレクトも可能だという。

◆AIが選んだ「今年の1枚」とは?

 さて、全てのカテゴリーを統合して人間が選んだ「今年の1枚」は6月12日、アメリカのテキサス州で国境警察の取り調べを受ける横で泣く、2歳の女の子の写真。トランプ大統領が発令した不法移民に対する「ゼロ・トレランス」政策について考えさせられる1枚だ。

 一方、AIが選んだのは9月22日、イエメンの内線で戦死した戦士の遺体を野外病院の遺体安置所で見る友人を写したもの。悲惨な現実を切り取ったものだが、静寂とある種の美しさを感じる。

 ゲッティイメージズ ジャパン株式会社の代表取締役・島本久美子氏にAIが選んだ「今年の1枚」について聞いてみたところ「鳥肌が立ちました。よくこれを選んだなと思いました」と語る。

「インパクトのある写真には躍動感があることが多いですが、これは静の写真。遺体の写真なので、ネガティブなことを想像しがちですが、これは写真として美しい。下の方の薄いブルーと白。お見舞いに来られている方の衣装…、まるで映画のワンシーンのようです。AIが、この静の写真をよくぞインパクトのある写真として選んだと思いました」

人間とAIが選んだ写真の違いについても、島本氏に聞いてみた。

「AIは過去に人間が選んだり、反応したというデータベースを元に、総合的に選んでくれています。一方、人間が選ぶとその時々の判断、意思が入ります。今年はそれが明らかで、政治、政策に影響を与える写真が選ばれています」

 島本氏によると、ゲッティイメージズではすでに、写真の選定・審査に独自で開発したAIを活用しているという。撮影する写真、送られてくる写真の数が年々増えてきているので、基本的には全て人間が審査してはいるが、最初のふるいをかける部分などにAIを活用し、人間は人間にしかできない意思の部分に注力していきたいとのこと。

 進化を続けるAI、果たして来年はどのような写真を選ぶのだろうか。

関連記事

トピックス

記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国分太一コンプラ違反で解散のTOKIO》山田美保子さんが31年間の活動を振り返る「語り尽くせぬ思い出と感謝がありました」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン