だが、ダサかっこいいって、一体どんな感じ?わからないだけに妙に気になり、知りたくなる。
似たような表現に、その昔“ブサかわ”という言葉もあった。当時「ブサかわ」といえば、秋田犬のわさおが有名だった。ブサイクであることが前提で、「ブサイクだけどかわいい」、「ブサイクだからかわいい」、「ブサイクなのにかわいい」という、人によって違う見方がされていたようだ。
しかし、ダサかっこいいは、「ダサいけどかっこいい」であり、「ダサいからかっこいい」でも、「ダサいのにかっこいい」でもない。
“ダサい”と“かっこいい”は相容れない、相反する言葉だ。そのため、ダサかっこいいという表現だけでは、それがどんなものを指すのかイメージするのが難しかった。ちょっと野暮ったいが、「まあカッコいい」なのか、「少々古いけど似合っている」なのか、「少し崩れていても美しさがある」という意味なのか、説明されてもわからず、ネットで検索してもさっぱりだ。どんな感じなのか、じっくり見たくなった。
サビの部分はテレビでよく見るが、一曲通して見たことがなかったので、YouTubeで『U.S.A』のミュージックビデオを見てみた。
イントロは、「これから何が起こるのか」と注視してしまうような仕掛けで始まり、インベーダーゲームのようなフォーメーションのダンスもある。サビで使われている「いいね」マークのダンスは、「OK」や「Good」 など、人に対していい感情を持っていることを示す仕草だし、ヒッチハイクで人目を引きたい時に使う仕草だ。この仕草を自分たちに向けて強調するダンスは、それまでなんとなく画面を見ていた人の意識を、彼らに引きつける役割を果たしている。
ダサかっこいいという言葉を見聞きした後にDA PUMPを見れば、その言葉の意味するところがどんなものか感覚的にわかるだろう。「古いけれど新しい」、「ダサいけどかっこいい」が絶妙なバランスでDA PUMPの中で融和しているのだ。曲や歌、ダンスだけでなく、ダサかっこいいという言葉だけでDA PUMPを連想するのだから、どんな言葉で表現されるのかもブレイクするにはポイントだ。
大晦日の紅白、彼らのパフォーマンスを存分に楽しみたい。