国内

暴力団の下請け化する半グレ集団 警察が敷く包囲網

全国の繁華街を拠点にする半グレ集団の取り締まりが強まる

 半グレ集団「関東連合」は2012年に発生した六本木クラブ襲撃事件をきっかけに縮小し事実上の消滅状態となり、怒羅権(ドラゴン)など複数の集団が2013年に「準暴力団」に指定された。そして2018年12月、大阪府最大の半グレグループ「アビス」は約半数のメンバーが逮捕、送検されて壊滅状態に追い込まれている。取り締まりが厳しくなるなか、変質した半グレ集団について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 大阪・ミナミの繁華街を拠点に活動する半グレ集団「アビス」のメンバーら男女55人が検挙された事件。アビスは大阪市内を中心に複数のガールズバーなどを経営し、客を脅して法外な飲食料金を請求する「ぼったくり」をしたり、対立する半グレ集団が経営するガールズバーに金属バットなど武器を持って襲撃するなどしていたという。

「半グレ」とは、暴力団に所属はしていないが犯罪などを繰り返す反社会的勢力の事を指す。2000年代中盤から、全国の自治体で暴力団排除条例が施行されると、まさに「暴力団の代わり」といった存在感で、各地の繁華街、裏社会にその勢力を拡大し続けた。だが、半グレ集団の暴力的な面や、目に余る反社会的行為が重ねられるに従って社会問題として捉えられるようになり、彼らが力をつけるたびに警察が取り締まりを強めて叩く、ということが繰り返されてきた。

 これまで、警察は何度も半グレ集団に対する壊滅作戦を行ってきた。しかし、ひとつを叩き潰すと、また別の形ですぐに集団がつくられる、といった繰り返しになりつつある。暴力団と警察当局の関係も同様で、長年まるでモグラ叩きのようなやり合いを展開してきたわけだが、それでも半グレは、やはり暴力団とは異なる存在であった。

 しかし、今回の大阪の事件を受けて、かつて関西最大の半グレ組織「強者(つわもの)」に所属していた経験のある元メンバーの・X氏は、半グレは「暴力団そのものになった」と話す。

「俺たちが(半グレ集団)やってた頃も、組(暴力団)との付き合いがなかったわけではないです。いろんな地域から集まったやんちゃな奴らの集合体って感じで、それぞれに、兄貴分的な組の人間がいたりすることはありましたが…。アビスの連中は完全に“組の人間”じゃないですか? もはや半グレではない、完全にヤクザ」(強者元メンバー・X氏)

 X氏によれば、かつて半グレ集団の「シノギ」といえば、違法ドラッグや偽ブランド品の売買であったり、今回逮捕された事案と同様に、脱法的な飲食店経営などであり、一見するとヤクザがこれまでやってきたシノギと、傍から見ればあまり変わりはなかった。しかし「内部事情」は、ヤクザや最近の半グレの事情とはかなり異なっていたという。

「元々ヤクザが嫌だ、という理由で集まったメンバーが多かった。ヤクザなんかやってても規制だらけで、オマワリにもすぐに目を付けられる。だったら、組なんかに入らず自由にやれる方がいいや、って。シノギをやるにあたって、ヤクザもんと付き合うこともありましたが、一時的な礼金の支払いはあっても定期的に支払うバックとか上納金はない。支払えと言われれば、武闘派のメンバーが必ず“話し合い”をした。これは本当に話し合いなんですよ…」(X氏)

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン