「あれから二十歳、年をとっちゃったんですよね」と苦笑いする格闘技ファンは、もうすぐ五十歳だ。
「二十年前は、観戦後に近くの飲食店で仲間と語り合ったりもしたけれど、今は少しでも早く帰りたい(苦笑)。会場が東京ドームのような都心ではなく、さいたま新都心だから電車の時間が気になることもあるけれど、何より、眠くなるんですよ。かつての観戦仲間で、今も会場で顔を合わせる人も減ってきました。家庭の事情もあるだろうし、まだ楽しめている自分は幸運だと思います」
総合格闘技の大会が行われるときは、十数試合というボリュームたっぷりの興行になりがちだ。だが、観客の本音を考えたら、試合数を減らして、もっと気軽に観に行ける大会のほうが、彼らの望みと合っているのかもしれない。