ビジネス

「キャッシュレス化」はなぜ根本的な景気対策になるのか

キャッシュレス化の意図とは?細野真宏氏が解説(撮影/矢口和也)

「家計」に関係する事件をベストセラー『細野真宏のつけるだけで「節約力」がアップする家計ノート2019』(小学館刊、定価500円+税)でお馴染みの細野真宏さんが“家計簿探偵”となってスッキリ解決! 今回は「キャッシュレス社会」を取り上げる。

◆キャッシュレス社会へ

 今年の10月に消費税が8%から10%に上げられることが決まっている。そこで消費税のアップが消費に与える影響をできるだけ少なくするために「クレジットカードなどの現金を使わない買い物をした人に対して増税分をポイントで還元する」といった景気対策が行われる方向に。さらに、この対策は中小のお店を優遇する方向で検討がなされている。

家計簿探偵・細野(以下細野):この事件は、いろんな思惑が重なっていて実に興味深いね。

探偵助手・コロ(以下コロ):このニュースって、消費税の増税の話だったのに、突然「キャッシュレス」とか出てきて、意味が分からなかったんだ…。

細野:確かに突然「キャッシュレス」(現金を使わない、という意味)という言葉がニュースで頻繁に出てくるようになったよね。実は、これは「消費税の増税」と同時に「キャッシュレス化という景気対策」を行おうとしているからなんだよ。

コロ:え、どうして「キャッシュレス化」と「景気対策」が関係あるの? 増税分をポイントで戻すから?

細野:もちろんそれもあるんだけれど、一時的に消費税の増税分をポイントで戻すのは、あくまで一時的な景気対策だよね。ただ、キャッシュレス化は、根本的な景気対策になり得るんだよ。

コロ:どうして現金を使わないようになると、景気が良くなるのかな?

細野:これには、大きく2つの理由があるんだよ。まず、1つ目は、クレジットカードばかり使って現金を使わなくなっていくと、「お金の感覚」がマヒしてきて、浪費が増える傾向になるからなんだ。だから、キャッシュレス化が進んだら、キチンと家計簿をつけたりして家計管理をする必要性がさらに強まるんだよ。

コロ:それは、本当にそうだよね。現金を持たなくなると、一体、自分がどのくらい余裕があるか見えにくくて分からなくなってしまうから、お金使いが荒くなりそうだね…。

細野:そうなんだよ。そして、キャッシュレス化が景気対策になる2つ目の理由は、海外からの旅行者への対策なんだ。実は、日本は世界的にキャッシュレス化があまり進んでいなくて、海外からの旅行者が困るケースが増えているんだよ。

コロ:なるほどね。それだと、海外の旅行者があまり日本で商品を買えずに帰って行っちゃうことにもなるのか。

細野:まさに、そういうことなんだ。次のグラフを見れば分かるように、今や日本への旅行者は、ものすごい勢いで増えてきてくれているから、人口が減っていく日本にしてみたら、とても大事な「消費者」でもあるんだよね。

コロ:うわ! 本当にすごく多くの人たちが日本に来てくれるようになってきているんだね。地方の旅行者でカードとかが使えないと、せっかくのお客さんを逃してしまうことにもなるわけか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン