◆平成初期のドライブ
平成の最初の頃、カップルでドライブというと、助手席の彼女も重大な任務を帯びていました。それは、ナビ。大きな地図を膝の上に置き、行先までを運転する彼氏に指示しなくてはならなかったのです。
「そんな急に右折とか言われても、曲がれないよ!」「だって判らなかったんだもの」とケンカになったり、地図帳の上下を進行方向に合わせて、ぐるぐる回す彼女を彼氏がからかったり。運転席の彼氏と、助手席の彼女とは、わいわいがやがや一緒にドライブをしていたという感覚があったものです。
女性たちからはくだらないと笑われながらも、彼女の前でいい恰好をしようと男性たちは、運転技術を磨いて、首都圏なら箱根路、関西圏なら六甲山など急坂でカーブの多いドライブコースに挑戦していたものです。
実際、マニュアル車でノンパワステだと、今から考えると結構、運転は難しかったのです。車が好きで、今でも古いマニュアル車に乗っている50歳代後半になるメーカー勤務の男性は、「オートマチック車になってから、運転を楽しむということが少なくなりましたね。安全性が高くなった分、車での遊びの部分がなくなった感じですね」と笑います。
◆若い男性の自動車離れ
若者の自動車離れと言われていますが、20歳代から30歳代の運転免許保有率は、この10年間でもそう大きな低下はありません。しかし、「全国消費実態調査」(総務省)の年代別自動車普及率の推移をみると、29歳以下の世帯で2009年には59.1%だったものが、2017年には47.9%へと1割以上低下しています。こうした傾向は大都市やその周辺で顕著であり、そうした点では「若者の自動車離れ」ということがいえます。
ところがおもしろいことに、29歳以下の単身世帯での自動車の普及率をみると、ほかの世代とは逆転しており男性が39.6%なのに対して、女性は56.6%と若い女性の方が自動車を持っていることがわかります。(総務省「全国消費実態調査」乗用車世帯主男女別・年齢階層別普及率/2018年3月末)
こうしたことから見ると「若い男性のクルマ離れ」が正しい表現だと言えます。