佐藤:皇太子は菊のカーテンに守られています。一方、国民に身近さを感じさせる役割を弟の秋篠宮が担っている。ただ眞子内親王の婚約内定者の小室圭さんの登場で、宮内庁の危機管理能力の欠如が明らかになった。
片山:あれには心底驚きましたね(苦笑)。危機管理どころか、身体検査も行われていなかったとは……。
佐藤:冒頭の秋篠宮発言に話を戻せば、官邸と皇室の対立は今上天皇の譲位で終結するのではなく、次の代に継承されることが明らかになった。それがポスト平成にどう影響するのか。
片山:次の天皇が戦後民主主義を守ってきた今上天皇の立場を引き継ぐのかがポイントになりますね。
佐藤:新しい時代が訪れたとき、我々は2016年のおことばとあの秋篠宮発言が、日本のターニングポイントだったと思う日がくるのかもしれませんね。
◆さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。片山杜秀氏との本誌対談をまとめた『平成史』が発売中。
◆かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究者。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』。
※SAPIO2019年1・2月号