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一体何をやった? 今さら聞けないカルロス・ゴーン事件の真相

ゴーン被告は現在も容疑を否認(時事通信社)

 熱が出た、雑誌を読んだ、寒いと言った、やせて頬がこけた…今、日本一注目されている“塀の中の男”カルロス・ゴーン被告。どうやら“何かのズル“をしたようなのだが、それがなぜ一国を揺るがすような大事件になったのか。あなたの「今さら聞けない」に答えます。

 この1月18日で、カルロス・ゴーン被告(64才)の逮捕から2か月が経った。連日、新聞やテレビでも飽きるほどに報じられてもいる。それなのに、いまだに「なぜゴーンさんが捕まっているのか、さっぱりわからない」(40代主婦)という人も多いはずだ。

 事件の核心がなぜわかりにくいのか。それには、ちゃんとした理由がある。1つは、ゴーン被告の不正の疑惑が全世界にまたがっていること。

「ゴーン氏はブラジル生まれ、レバノン育ちなので『二重国籍』でした。さらに、当時はフランス国営だった自動車会社『ルノー』の重役に就任するために、フランス国籍も取得。その上、税金の安いオランダに住所を置いているとも報じられました。もちろん日本にも自宅がある。サウジアラビア人の知人の会社に不正にお金を渡した疑惑もあります。

 それらの場所をグルグルと回るお金の流れを完全に把握することは、日本の国家権力である検察でも、至難の業なのです」(全国紙社会部記者)

 もう1つは、報道の問題もある。経済事件に詳しいジャーナリストの伊藤博敏さんが解説する。

「ゴーン氏を逮捕した検察が、日本の新聞やテレビなどのメディアに“こんな不正がある”と都合のいい情報を小出しにしているからわかりにくくなる。さらに言えば、メディアは検察から情報が欲しいので、検察に不利になるような情報は取材で掴んだとしても報じません。そんな断片的で、偏ったニュースばかりなので、事件がよくわからないのも、無理はありません」

◆38度の熱で取り調べが中止に

 ゴーン被告と日産の関係は1999年にさかのぼる。当時の日産は赤字が膨らみ、ほぼ潰れかかっている状態。そんな窮地の日産を救ったのが、当時はルノー副社長で、日産COOも兼任したゴーン被告だった。

「ゴーン氏は今、約3畳の東京拘置所の独房にいます。ベッドのある部屋に移してもらうなど、“特別待遇”されてはいるものの、毎日取り調べが続いています。日中は暖房が切られるため、冬の拘置所はとにかく寒い。9日夜には38度の熱を出したそうです」(前出・記者)

 保釈を申請するも裁判所に却下され、年末年始も拘置所で過ごした。大みそかには、カップ麺タイプのそばが出され、正月にはおせちが配られたという。

「食事や取り調べの時間以外はフランス大使館員や弁護士と面会をしつつ、『ジャパンタイムズ』など英語の本や雑誌を読みながら過ごしているそうです。家族との面会は、まだ果たせていないと聞きます」(前出・記者)

 それでは、ゴーン被告がやった「悪いこと」とは何だったのか。前出の伊藤さんが解説する。

「ゴーン氏の罪は大きく分けて2つあります。1つは、金融商品取引法違反。役員報酬を実際にもらった額よりも少なく日産の株主に報告したことが、『有価証券報告書の虚偽記載』に当たります。

 もう1つは、特別背任罪。私的な投資で生じた損失を、日産のお金から補填するなどして会社に損害を与えた、いわゆる“会社の私物化”です」

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