国内

前澤社長が援助した3才児の両親「不公平という声もわかる」

前澤氏に命を救われたおうちゃん

「今でも救う会をやってよかったのか、正直わかりません。子供の顔も実名もネットに出して、将来この子が傷つくかもしれない。でもただただ、旺典を諦めたくなかった。応援してくださったかたがたには感謝しかありません…」

 そう声を詰まらせるのは、上原歩さん(38才)。“おうちゃん”こと旺典(おうすけ)くん(3才)の母親だ。

 おうちゃんはうまく血液を循環させられない「拡張型心筋症」だ。助かるには心臓移植をするしかないが、国内での移植は困難なため、歩さんと夫の良太さん(38才)は昨年8月に「おうちゃんを救う会」を立ち上げた。アメリカでの心臓移植にかかる費用の寄付を募っていたが、目標額の3億5000万円までは2億円近く足りていなかった。

 事態が急転したのは1月13日。『サンデー・ジャポン』(TBS系)でおうちゃんの密着ドキュメントが放送されるとZOZOの前澤友作社長(43才)が反応。個人での寄付に加え、Twitterでリツイート1件につき10円をおうちゃんに寄付すると表明し、わずか7日間で51万件を超えるリツイートを記録した。1月19日、「救う会」は募金の目標額に目途がついたと発表。驚異的なスピードでの目標達成となった。

耳目を集める前澤氏の“拡散力”の賜物といえるが、彼の行動には「特定の誰かを助けるのはよくない」「不公平」などの意見も上がった。前澤氏は「目の前でおばあちゃんが倒れたら反射的に助ける(中略)目の前にできることがあるなら、行動する。それだけ」と自らの姿勢を貫いた。

 良太さんは複雑な胸の内を明かす。

「ぼくたちも、過去に他の移植を待つ子供に著名人が見舞いに来たり、支援をしたというニュースを見て、正直“うちにも来てほしい”と思いました。不公平だという気持ちは痛いほどわかります。でも、ただただ旺典を助けたい。前澤さんの行動に対していろんなご意見があったことは承知していますが、おかげで多くのかたが旺典を知ってくださったこともあり、目標額を集めることができた。本当に感謝しきれません…」

 おうちゃんは2015年7月23日生まれ。生後9か月から咳が止まらなくなり、近くのクリニックを受診すると、風邪と診断された。2016年5月、おうちゃんが青白い顔で嘔吐。総合病院を受診すると、レントゲン写真を見た医師は夫婦にこう告げた。

「心臓移植ができる病院に搬送します」

◆“世界”はその2mにのみ制限された

 歩さんが当時を振り返る。

「風邪が悪化して気管支炎か肺炎になったかな、ぐらいに思っていたので…説明を受けた時はショックで涙も出なくて、まるで他人の話のようでした」

 集中治療室に緊急搬送されたおうちゃんの小さな体には10本もの点滴がつながれ、顔には人工呼吸器がセットされた。医師からは、「心臓移植しか助かる道はないかもしれない」と告げられた。

 その夜、帰宅した歩さんは、ベッドで泣き崩れた。

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン