ビジネス

厚労省不正は氷山の一角 公務員に「やる気の空洞化」蔓延か

勤労統計の不正問題で謝罪する根本匠厚生労働相(写真:時事通信フォト)

 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査手法に不正があったことが判明し、大きな波紋を広げている。組織的な隠ぺい工作が行われていたとの疑惑もあり、このまま“幕引き”では済まされない事態といえる。そもそも「公務員の働き方に“やる気の空洞化”が起きている」と厳しく指摘するのは、同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

 * * *
 勤労統計の不正問題をめぐり、厚労省内で不正を容認するマニュアルまで作られていたというから驚きだ。厚労省は昨年、労働時間に関するデータの誤りが次々と発覚して問題になったばかりだし、財務省や文部科学省の不祥事も記憶に新しい。また各地の自治体や警察などでも、職員のミスや怠慢によるとみられる不祥事が続発している。「仕事に対する意欲が足りない」「責任感に欠ける」と批判されてもしかたがないだろう。

 その一方で国・地方を問わず近年の公務員は表面上、勤勉に働いているように見える。不祥事を起こした厚労省は、まるで不夜城のように連日、長時間労働が続いているし、自治体でも深夜までの残業が常態化しているところは珍しくない。それをもって、いちばんブラックな職場は役所と学校だといわれているくらいである。

 問題は、その勤勉さが必ずしも本物のやる気、仕事の質を伴っていないところにある。それどころか、「見かけ上の勤勉」と「本物のやる気」とのギャップはむしろ広がっているのではないか。

 もっとも、それは公務員に限った話ではなく、日本人全体の働き方がそうなっているといってもよい。

 統計を見ると、わが国における一般労働者(正社員)の年間総労働時間は2026時間(2017年)で、主要国のなかでは突出して長い。また年次有給休暇の取得率は49%(2017年)と、半分も取得されていない状態が続いている。与えられた休暇はほぼ100%取得する欧米などとは対照的だ。

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン