ライフ

阪神大震災時に4割の猫が異常行動、野良猫は感知能力高い

地震前の行動として、子供をくわえてどこかに行こうとしたという報告も(Ph:Getty Images)

 阪神・淡路大震災の時、犬は26.2%、猫は39.5%が地震の前にいつもと違う異常行動をとったという(兵庫県内の獣医師と日本愛玩動物協会が、飼い犬や飼い猫を対象に行った調査による)。猫たちには地震を感知する能力があるのか? 猫の持つ不思議なパワーに迫る。

 気象庁のデータによると、昨年日本で発生した震度5弱以上の地震は合計11回。震度1以上で見ると、地震回数は2179回と、前年より154回多く、過去5年間で見ても熊本地震があった2016年に次ぐ2番目の多さだった。

 そんな地震大国・日本では昔から、ナマズが暴れると地震が来るなど、地震と動物をめぐる迷信めいた話がつきない。猫や犬は実際、地震が起こる前、いつもと違った行動をとっていると、地震発生前の動物の前兆行動について研究している東京農業大学教授の太田光明さんは話す。

「地震前に見せる動物の行動として、犬の場合、吠えることが多い。これは飼い主に異変を知らせていると考えられます。一方、猫の場合は、外へ逃げようと家の中を走り回る子が多いんです」(太田さん・以下同)

 猫は自分の身に危険が迫った時、“逃げる”ことで危険を回避するという。危険を感知してこの場から逃げようとするも、今は大半が完全室内飼いなので、外に逃げられない。家の中を走り回るしかないというわけだ。

◆飼い猫より野良猫の方が地震の感知能力が高い!?

 では猫はどのようにして地震を感知しているのか。地震直前に発生する電磁波を感じ取っているのではという説もあるが、残念ながらまだ明確なメカニズムは解明されていない。太田さんによると、電磁波を感じる能力は人間を含むあらゆる動物が持っており、猫がとりわけ発達しているわけではないそうだ。

「私は猫のすぐれた聴覚と嗅覚が関係しているとにらんでいます。猫の嗅覚は人間の約100万倍以上。猫は人間にはわからないにおいの変化や、地殻、水位の変化による振動や音などを感じ取っているのではないかと考えています」

 猫が地震を感知できる範囲は、震源地の最大半径250km。異変を感知する能力は、メスよりオス、血統種より雑種、飼い猫より野良猫の方が鋭いそうだ。

「人間に大事に飼われているほど、能力は衰えます。たまにはハーネスをつけて外出し、外の空気に触れさせて本能を刺激してあげるといいかもしれませんね」

 愛猫に地震を感知する能力があるかどうか気になるかたは、活動量を測ってみるのがおすすめだという。

「研究室の猫たちも、毎日の活動量を計測しています。地震の前は普段の約3倍、行動量が増えたことがありました」

 動物たちの地震を感知する能力については、少しずつ解明されてきてはいるが、これを活用する具体的な手段は確立していない。猫が異常行動をとったから必ず大地震が来るとは限らない。最後に身を守るのは自分自身。日頃から防災対策は万全にしておくのに越したことはない。

※女性セブン2019年2月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
最新機種に惑わされない方法とは(写真/イメージマート) 
《新型iPhoneが発表》新機能へワクワク感高まるも「型落ち」でも充分?石原壮一郎氏が解説する“最新機種”に惑わされない方法
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
選手会長としてリーグ優勝に導いた中野拓夢(時事通信フォト)
《3歳年上のインスタグラマー妻》阪神・中野拓夢の活躍支えた“姑直伝の芋煮”…日本シリーズに向けて深まる夫婦の絆
NEWSポストセブン
学校側は寮内で何が起こったか説明する様子は無かったという
《前寮長が生徒3人への傷害容疑で書類送検》「今日中に殺すからな」ゴルフの名門・沖学園に激震、被害生徒らがコメント「厳罰を受けてほしい」
パリで行われた記者会見(1996年、時事通信フォト)
《マイケル没後16年》「僕だけしか知らないマイケル・ジャクソン」あのキング・オブ・ポップと過ごした60分間を初告白!
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』でスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
《テレビ関係者が熱視線》『世界陸上』再登板で変わる織田裕二、バラエティで見せる“嘘がないリアクション” 『踊る』続編も控え、再注目の存在に 
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン