そこで、親に認知症の症状が見えてきたとき、家族が急いで公証役場に親を連れて行って公正証書にする“滑り込み型”もある。
任意後見の契約を結んだ後、親の認知症が進行したら、家族が医師の診断書、任意後見契約書、任意後見監督人の選任申立書など必要書類を揃えて家庭裁判所に後見開始の申し立てをする。そして裁判所から呼び出しがあり、審判が行なわれる。後見制度に詳しい遠藤英嗣・弁護士が語る。
「家裁の審判では、裁判官が認知症になった委任者本人(親)に、『監督人をつけて任意後見人に仕事をしてもらいますがいいですね』と確認します。その同意手続きを得て任意後見開始となります」
裁判官の質問に意思表示できなければ同意手続きなしで後見が開始される。
※週刊ポスト2019年2月15・22日号