ビジネス

5ナンバー車やモスバーガーが苦戦する時代の消費性向

実質賃金も上がっておらず、消費の二極化はますます進んでいる

 厚労省の統計データ不正操作による不都合な真実が明るみに出て、一部の大企業を除いて実質賃金はむしろ下がっていることが明らかになった。その実態を素直に映し出しているのが、消費の二極化がますます進んでいる状況だ。ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。

 * * *
 昨年の乗用車販売(軽自動車を含む)で、5ナンバーの小型乗用車の比率が29.9%と初めて3割を切った。かつては新車の65%を小型車が占めていたから隔世の感だ。

 もちろん、衝突安全性能の向上や、日本よりも大きなクルマが主戦場となる海外市場をメーカーが重視していることから、クルマのサイズが年々大きくなり、小型車の枠を超えて3ナンバー車が多くなっている事情もある。かつては大衆車の代表車だったトヨタ自動車の「カローラ」も、いまや3ナンバーだ。

 ただし、そうした点を除いても「業界に関わらず、高価格帯と低価格帯に販売が2極化し、中間価格帯が苦戦するという構図になっている」(ある自動車メーカー幹部)のは、日本でも格差社会が拡大している証左といえる。この幹部はこうも指摘する。

「直接的な価格帯とは少し違いますが、ミニバンも、たとえば『アルファード/ヴェルファイア』(トヨタ自動車)のような大型と、『フリード』(ホンダ)や『シエンタ』(トヨタ)のような小型に2極化し、『ウィッシュ』(トヨタ)や『プレマシー』(マツダ)のような中間層向けのミニバンマーケットがなくなってきている。

 クルマに限らず、中途半端な位置づけの商品は消費者の厳しい目によって、淘汰されていくことがこれからますます加速していくのではないかと思っています。

 もっとも、3ナンバーか5ナンバーかという議論は、その流れとは少し違うのかなと。ダウンサイジングターボによって、小排気量車でも、より出力が出せるようになったことや、安全性能の要求が高まったりデザイン要素が求められたりした結果、3ナンバー車が増えて5ナンバー車が減った要因もあると思います。なので、高価格帯のプレミアムカーすべてが3ナンバーという構図ではありません」

 小型車の消失分は、輸入車を含めて3ナンバー車へ移行した人と、「クルマは下駄代わりで十分」と、軽自動車に移行した人に2分され、カーシェアやサブスクリプションなどを利用する人たちを除けば、この傾向はさらに強まりそうだ。

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン