加えてトランプ大統領は日韓両国に北朝鮮の非核化実現のために資金援助をさせようと「仲介役」を買って出ています。日本政府はそれを受け、菅義偉・官房長官が「IAEA(国際原子力機関)による査察の初期費用の負担はあり得る」と会見で述べました。
拉致問題を進展させたい安倍政権は、是が非でも日朝首脳会談を開きたがっています。トランプ大統領はそうした日本の“足元を見て”資金援助を要請したのです。その結果、北朝鮮は「完全な非核化」をしなくとも次々と見返りを受けられる素地ができているのです。
【プロフィール】てしま・りゅういち/外交ジャーナリスト・作家。NHKワシントン支局長時代に9.11テロに遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKから独立。インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表。近著に佐藤優氏との共著『米中衝突 危機の日米同盟と朝鮮半島』がある。
※週刊ポスト2019年3月1日号