◆退屈そうに形だけの拍手
なぜ、世界トップにまで上りつめた功労者であるバインコーチをクビにしたのか。冒頭の会見で、契約解消までの経緯を問われた大坂は、
「昨年春にあった(アメリカの)チャールストンと同秋の北京(の大会)で、特にそのように感じ始めた」
と、1年ほど前からバインコーチとの契約解消を考えていたと打ち明けた。さらに解任を決めた時期について、
「オーストラリアにいる間に考えていた。私たちが会話しているところを見て、(異変を)感じ取った人もいたと思う」
として、1月の全豪オープン時には、訣別を決意したと語った。スポーツライターの小林信也さんは「思い当たる節があります」と指摘する。
「全豪の準々決勝で大坂選手が大事なポイントを奪ったとき、観客が盛大な拍手を送る中、バインコーチだけが斜に構えて、退屈そうな表情で形だけの拍手をしていました。以前は、試合中に“帰りたい”と言い出すほど駄々っ子の大坂選手に向かって、膝をついて優しくあやすバインコーチの姿が印象的だったので、その変貌ぶりに驚きました」
たしかに全豪での大坂選手とバインコーチの練習時間は短く、準決勝の事前練習はわずか10分で終了。いつも事前練習後に行うバインコーチからのアドバイスも大坂選手は振り切ろうとして、バインコーチに引き止められる場面があったという。そのほかにも、「バインコーチに口答えした」「アドバイス中に目をあわせず水を飲んでいた」など、2人の関係悪化を物語るエピソードは多い。
「練習を予約したコートに大坂選手が現れず、別の場所で練習していたという話もあります。コートの変更は多々ありますが、それをコーチが知らなかったのであれば大きな問題です。大会期間中に2人の間に争い事が起き、コミュニケーションが取れる状態じゃなくなってしまったのでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
全豪オープンの会見で、バインコーチの貢献について問われた大坂選手はこんな“なおみ節”を炸裂させた。
「あんまり彼と話さないから(笑い)。わからない。正直に言うと、ここでは、試合の前にはお互いにあまり話さなかった。彼が何か言ったりしても、私は一言“OK”だけで」
その後、自身のインスタグラムでトレーナーやエージェントに長文の感謝メッセージを綴ったが、バインコーチに対しては《2週間、練習相手になってくれてありがとう》と素っ気ない内容だった。
「最初はてっきり、親しいから照れくさいのだろうと思いましたが、今思うとコーチなのに“練習相手”と書くのは不自然ですし、メッセージの少なさは彼女の本音の表れだったのかもしれません」(前出・山口さん)
※女性セブン2019年3月7日号