冒頭のような英語教育やプログラミング教育など、あまり公立中学では体験できそうにない本格的な内容の授業を組み込み、名門・日比谷高校や早慶など、進学実績も都内随一を誇る。
しかし西郷校長が目指したのは、決してエリート校をつくることなどではない。
「私自身が、もともと窮屈な規則が苦手なんです」
納得のいかない校則の一つひとつを検証し、ついには全廃してしまったが、そんな西郷校長が何をおいても優先して守るよりどころがある。
「それは“生徒が3年間楽しく過ごせる学校にする”という目標です。
校則がないのも、実はその目標が先にあり、“校則があると楽しくないよね。だったらなくしちゃえ”となったわけです。授業にいろいろな工夫をしているのも、“勉強ができないと、学校が楽しくないし、高校受験も大変だよね。だったら学力のつく授業を採り入れよう”と逆算して考えていった結果です。桜丘中学の取り組みは、学校が楽しくない条件を改善することで、出来上がっていったんです」
だからこそ、同校では「授業中に教室の外にいてもいい」や「タブレットやスマホは解禁」「私服でも制服でもいい」となっており、「すべてを英語だけで他の教科の勉強をしたり作業をする“CLIL”(Content and Language Integrated Learning=内容言語統合型学習)」「夕食(100円)がつく『夜の勉強会』」などの取り組みを行っている。
※女性セブン2019年3月14日号より一部抜粋