書籍『読みだけで目がよくなる37の名文』を手にする海老蔵
最近では、研修中に辞めてしまう研修生も続出しているという。
「現在研修中で3月末に卒業する23期生は9人いたのに、今は6人に減ってしまった。三階さんの相次ぐ廃業を見ていれば、彼らも考えるところはあるのでしょう」(前出・別の歌舞伎関係者)
こうした負の連鎖を元歌舞伎役者は危惧する。
「歌舞伎は主役だけでは成り立ちません。自らを“背景”と称する三階さんらがいることで、芝居ができる。海老蔵さんや松本幸四郎さん(46才)ら脂がのっている時期の花形役者を支える存在がいなくなるというのは、歌舞伎の根底を覆すことになりそうです」
その事態に、歌舞伎関係者は危機感を強めているようだ。
松本幸四郎は昨年3月、自らのホームページに《歌舞伎俳優見習いを募集しています》と掲載した。
「『高麗屋』という超名家が、襲名披露公演中に悲痛な呼びかけをしたことで、歌舞伎界では大きな話題になりました。人材不足に悩んでいるのは、どこの家でも同じなんです」(前出・別の歌舞伎関係者)
まさに今、市川海老蔵が「六本木歌舞伎」等で試みている新たな取り組みも、人材不足解消の一助になり得る。
「海老蔵さんはそういった状態に困惑しながらも、なんとか三階さんたちを成長させようとしています。よそを辞めたお弟子さんを拾ったり、違う家の役者さんを自分のところで積極的に使っています。六本木歌舞伎など、現代劇に近い演目も上演しているので、その舞台で三階さんにせりふをあげ、“頑張れば役がつく”“あきらめずにやってみよう”と、彼らの気持ちを懸命に拾い上げようとしています」(スポーツ紙記者)
歌舞伎界の窮地にどう立ち向かうか。海老蔵らの改革に注目したい。
※女性セブン2019年3月21日号