もし私が次の元号越えの瞬間にアナウンスするとしたら、どういう思いを込めて、何と言うか、ですか?
今、申し上げたように、実際に言葉にするかどうかは別として、陛下に対する“お疲れ様でした”という気持ちがこもるでしょうね。それともうひとつ、今度は新しい時代に対する期待と申しますか、新しい天皇陛下に“よろしくお願いします”と希望を託したい気持ちもあります。ひとつの時代が終わることへの惜別の情はあるにせよ、今度の御代替わりは悲しい出来事ではありません。
とすれば、笑みを湛えながらアナウンスしてもいいのではないでしょうか。どのようなアナウンスになるかは、担当するアナウンサーが今度の御代替わりをどのように捉えるかによるでしょうね。注目しています。
【PROFILE】松平定知●1944年生まれ。早稲田大学卒業後、NHK入局。『NHKニュース7』『その時歴史が動いた』など数々の看板番組を担当。2007年にNHKを退局し、現在は京都造形芸術大学教授などを務める。『謀る力』『幕末維新を「本当に」動かした10人』など歴史について考察した著書多数。
●聞き手・構成/鈴木洋史(フリーライター)
※SAPIO2019年4月号