2012年1月4日
今年予定されていた住宅造成のための嵩上げ地域の完成は遅々として進まず、故郷に戻ることを諦めた住民が後を絶たない。防災意識向上のために語り部を務める釘子明さん(60)が語る。
「東京五輪に人手が奪われ、追い打ちをかけるような資材の高騰で復興が遅れているのは明らかです。『復興五輪』といわれても実感が湧きません」
建設が進む復興公営住宅では、孤独感に悩む高齢者が急増している。隣の声が聞こえるほど薄い壁の仮設住宅の方が、賑やかで気が紛れたというのだ。
被災地の復興を取り巻く状況は、9年目を迎えた今もなお、住民の苦悩をそのままにしている。
◆撮影/本誌・小倉雄一郎、取材・文/小野雅彦
※週刊ポスト2019年3月22日号