東大人気に陰りが出ていることもあるのかもしれない。今年は主に法学部に進学する文科一類の合格最高点、最低点、平均点が、主に経済学部に進学する文科二類を下回った。今までになかったことだ。文一より文二のほうが入りにくかった。東大法学部といえばキャリア官僚になる卒業生が多いが、その官僚の魅力が下がっていることも影響しているのだろう。
さらに、京大人気が全国化していることもある。今年、地元近畿地方の2府4県からの合格者の割合は47.7%で5割を切った。東大の地元関東地方からの合格者割合59.1%と比べてかなり低い。合格者を送り出した高校数も東大の400校に対して456校と多く、すそ野が広がっていることがわかる。
山中伸弥教授のノーベル賞受賞以降、“研究の京大”のイメージがさらにアップしたことが大きい。関東地方からの京大合格者も増えている。例えば、都立の国立(東京)は東大合格者の16人を上回る19人合格。浦和・県立18人、海城(東京)15人、前橋・県立(群馬)は東大の7人を上回る13人、麻布(東京)も13人が京大に合格した。
以前は「東大がダメなら京大」との考えもあったが、近年は初めから京大狙いの受験生も多い。むしろ、東大がダメなら東京工業大や一橋大を狙うという。昔は首都圏の受験生は“都落ち”を嫌って、地元の大学進学を目指すと言われたが、今の状況は変わってきているようだ。