今年の東大の入試問題は大手予備校によると、文系では英語、古文、世界史が易しくなり、数学、理科が難化したという。女子が得意な科目が易しくなって差をつけられず、女子が苦手とされる科目が難化したため、女子受験生には逆風となった。
今年の東大の女子合格者は、昨年に比べ41人減って510人だった。逆に男子が得意な分野が難化することで差をつけることができ、開成、聖光学院、駒場東邦(東京)、浦和・県立(埼玉)など男子校が大きく合格者を増やした。
その男子校の中で18人合格者を減らして73人となったのが灘(兵庫)だ。今年は卒業生219人中、文系の生徒が極端に少なく、理系が180人以上だったという。今年の文科類の合格者が、昨年の26人から13人に半減している。理IIIは昨年より5人増えて20人合格でトップだった。
中高一貫校の強さが際立つ中で、公立トップは東京の日比谷だ。次いで浦和・県立41人、岡崎27人、旭丘26人(ともに愛知)、横浜翠嵐(神奈川)21人の順だ。
公立一貫校(中等教育学校含む)も躍進している。全国の51校から169人が合格。トップは千葉・県立(千葉)の19人だ。中等教育学校では小石川(東京)が16人でトップだった。公立一貫校は規模が小さいところが多く、小石川の卒業生数も156人ということもあり、1校当たりの合格者は少ない。
一方の京大合格高はどうだったのか。後期・法学部の20人募集の入試を除いての集計だが、トップは2年連続で大阪の公立の北野だった。昨年より合格者は12人減って72人。2位が東大寺学園(奈良)の67人で、昨年より10人増えた。3位は洛南(京都)で12人減の64人、4位は堀川(京都)で5人増の51人だった。
東大よりトップ校の合格者数が少ない特徴がみられた。東大トップの開成は188人で、北野は72人だから、京大トップは東大トップの半数以下ということになる。合格者総数は京大が2838人に対して東大は3084人なので、これほどの差になるとは思えない。京大トップが3桁を超えたのは2009年の洛南の105人が最後だ。
これはひとつには、西日本で医学部人気が高いことが理由と見られる。京大の理系学部より、他の国公立大の医学部を狙う受験生が多いからだ。特に中高一貫校にこの傾向がはっきりとうかがえる。医師不足の地域、診療科解消のため、2008年から医学部は定員増に踏み切る。それにつれ、京大トップ校の合格者数が減り始めている。