「遊客は3回目にしてようやく『馴染』として認められます。当時の風俗誌『守貞謾稿』によると、最高位の花魁と馴染になった場合、関係者や奉公人なども含めて一度に100万円ものチップを払っていたようです」(堀口氏)

 それでも男性客の心を掴んだ“テクニック”とはどんなものだったのか。堀口氏はこう語る。

「3回目からは遊女は『馴染』に対して、“デレる”ようになったといいます。『客人』ではなく名前で呼ぶようになり、遊女が床入りで初めて細帯を解く、つまり全裸になってくれたんです。朝の見送りもそれまでは建物の玄関までだったのが、外の門まで付き添ってくれ、次の約束の日には引手茶屋(案内所)まで迎えにきてくれる。そのように、遊女が見せる“ツンデレ”の姿が、遊客を夢中にさせたのかもしれません」

「馴染」になると「浮気は厳禁」という厳しいルールもあった。

「十返舎一九が綴り、喜多川歌麿が挿絵を描いた『吉原青楼年中行事』によると、“浮気”がバレた遊客は遊女と妹分たちにボコボコにされ、慰謝料まで払わされたと記されています。正直なところ、吉原で遊ぶのって面倒臭そうですよね(笑い)。でも、遊女が男性に見せた『恋のかけ引き』は、現在の女性たちも思わず真似したくなるようなテクニックが満載なんです」(堀口氏)

※週刊ポスト2019年3月29日号

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