堀口氏が強調するのは、当時の吉原遊郭は「文化の中心地」といえる場所だった点だ。

「『太夫』と呼ばれる当時の高級遊女は、一流の女優やトップタレントのような、当時の女性たちの“憧れの存在”でした。容姿の美しさはもちろん、幼い頃からの英才教育によって文学や歌舞音楽、茶道、生け花などあらゆる教養をマスターしていました。数多くの浮世絵や美人画に描かれて、土産物としても人気を集める“トレンドリーダー”でもありました。

 そのため、男性は事前に予約をしないと目当ての太夫に会えないこともありましたし、遊女が気に入らない客は、たとえ大名であっても“振る”ことができたのです」(堀口氏)

 それだけに、客には厳しい条件が課せられていた。とくに、同じ遊女のもとに「3回通って初めて行為に及ぶことができる」という“不文律”があったという。

「当時は、初めての登楼を『初会』といい、必ずしも同衾(ひとつの寝具で一緒に寝ること)できるとは限りませんでした。“初会には 壁に吸い付く ほど座り”という川柳が残っていて、お供を連れて座敷に入ってきた遊女は当然のように上座に座り、遊客はものすごく遠く離れた位置に座るのが常でした」(堀口氏)

 2回目の登楼は『裏』、同じ遊女を指名することを『裏を返す』と言った。“裏の夜は 四五寸近く 来て座り”と詠まれたように、2回目でも、初会より少し近づけるだけだったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン