スポーツ

イチロー 成功という言葉を嫌い「野球の神様」に愛された男

記者会見に臨んだイチロー(EPA=時事)

 メジャー19年目の開幕の地、東京ドームに 「イチロー!イチロー!」の大合唱が、地鳴りのように響き渡った最後の打球はショートに飛び、1塁を駆け抜けたイチローの現役最後の打席が万雷の拍手の中で終わった。2653試合に出場し、メジャー史に刻んだヒットは3089安打。不世出の男は、最後の雄姿を見せた後、引退会見で何を語ったのか。これまでメジャーリーグ2千試合を取材してきたスポーツジャーナリストの古内義明氏がイチロー引退を振り返った。

 * * *
 マリナーズのサービス監督がライトの定位置にいたイチローを指さす。マリナーズナインがフィールドから退く。イチローはライトスタンドに振り向きその後ドームのファンに別れを告げた。アスレチックス・ナインも拍手を送る中、イチローがナインと抱擁した。これぞメジャー。これぞイチローへのリスペクトだった。終電が迫っても東京ドームのファンは帰らなかった。

感情がないと思っている人いるみたいだが、ある、意外とある。だから結果を残して最後を迎えられたら一番いいなと思っていたが、それはかなわなかった。それでもあんなに球場に残ってくれて。死んでもいいという気持ちはこういうことだろうなと。死なないですけど。そういう表現するのはこういうときだろうと思った」。 日米通算4367安打(日本1278、米国3089)を刻んだ安打製造機グラウンドを一周して、ファンに別れを告げた

 2001年、マリナーズの本拠地セーフコフィールドでメジャーリーグ・デビューを果たしたイチローだが、当時はその活躍に、懐疑的な意見が少なくなかった。無理もない日本野手初のチャレンジであり、前例がなかった。

アメリカのファンの方々最初は厳しかったですよ。最初は日本に帰れってしょっちゅう言われましたよ」。1年目の活躍は、そんな逆風を追い風に変えるのに、十分すぎるほどだった。ルーキーとして、首位打者、盗塁王、そしてリーグMVPに輝いた。

結果を残した後の敬意というのは、手のひらを返すというか。行動で表す敬意は迫力があるという印象です。認めてもらった後はすごく近くなると言う印象で、ガッチリ関係ができあがる。シアトルとのファンとはそれができたという勝手な印象ですけど」。だからこそ、マリナーズのユニホーム姿を、「最後にシアトルのファンに、見せられなかった申し訳なさはあります」と、地元ファンをおもんばかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン
現場は246号線からすぐの場所だった
「マンションを出たら血溜まりが見えて…」世田谷・韓国籍40代女性切りつけ事件、近隣住民が証言 閑静な住宅街で“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン