芸能

女優・渡辺美佐子 梅沢富美男劇団で学んだ驚きと涙の芝居

名女優は梅沢富美男劇団で何を学んだ?

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、女優・渡辺美佐子が、一人芝居『化粧』のために梅沢富美男劇団で学んだこと、『化粧』初演に至るまで苦闘した思い出について語った言葉をお届けする。

 * * *
 渡辺美佐子は一九八二年に始まる一人芝居『化粧』で大衆演劇の女座長を演じるに当たり、梅沢富美男劇団で学んでいる。

「梅沢さんが川崎の大島劇場で公演していらしたので、そちらに行きました。梅沢さんはその日のお客さんの様子を観て演目を変えているんです。

 梅沢さんのお兄さんの武生さんの頭にはストーリーが四百くらい入っていて。本番が始まる前に口立て稽古を二回だけやります。『今日はこれをやる』『富十郎はこうして、五郎はこうして、お梅がこうなって──』という口立てを武生さんが二回おっしゃる。というよりも、二回しかおっしゃらない。あとのセリフはほとんどアドリブなんですよね。それで終わったら『はい、始めよう』と言って本番に。

 私も口立て稽古を一生懸命に聞いていたら『はい、渡辺さんできましたね。本日の客演・渡辺美佐子殿』って、舞台に出ることになりまして。それで富美男さんがアッという間にカツラを被せて顔にお化粧をしてくださって、とにかく出されましたよ。その舞台の狭さにまた驚きました。

 必死にやっていたら最後のところでは本当に涙が出て。それで終わって頭を下げたら客席からお金がどんどん投げ込まれて。富美男さんに『お金を見ちゃいけない。見ないで見ないで』と耳打ちされました」

『化粧』は「鏡を見て化粧をしながら一人芝居をする」という設定になっているが、実際の舞台には鏡はなく、客席と面と向かう構図になっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
多忙の中、子育てに向き合っている城島
《幸せ姿》TOKIO城島茂(54)が街中で見せたリーダーでも社長でもない“パパとしての顔”と、自宅で「嫁」「姑」と立ち向かう“困難”
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン