本格的な就職活動シーズンが始まった。大手企業では、エントリーシートの受付が始まっている。エントリーシートは内定にたどりつくための「最初の関門」と言えるが、他の就活生との「差別化」を考えた結果、逆効果になるケースが多いという。就活塾・キャリアアカデミーの宇佐川景子氏が解説する。
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2020年卒の就活が解禁されました。「エントリーシートをどう書けばよいかわからない」と悩んでいる就活生も多いと思います。就活塾「キャリアアカデミー」の講師によると、メガバンクには毎年、2万通程度のエントリーシートが提出されるそうです。大量の応募の中から選ばれ、内定を獲得できるエントリーシートはどのようにしたら書けるのでしょうか。
採用担当者は口を揃えて「就活生のエントリーシートは似たり寄ったり」と言います。これはやむを得ないことです。就活生は全員、小・中・高・大と、多少の違いはあれ、画一的な環境で育ってきており、その中でしてきた経験は、バイト、サークル、部活、ゼミなど、バリエーションが限られてしまいます。できるだけ悪いことは書かないようにして、しかも、みんなネット上にあるエントリーシートの書き方を参考にするから、どうしても個性が出せないのです。
就活ノウハウ本には、「似たり寄ったりのエントリーシートにならないように差別化しよう、そのためにと『苦労したこと』『工夫したこと』『学んだこと』など、エピソードを具体的に書こう」と書いてあります。しかし、同質化した就活生が、同じアドバイスを参考に書くのですから、結果として出来上がるエントリーシートはやはり同じような内容になります。
例えば、「個別指導塾講師のアルバイトで、担当生徒との距離を縮めるために雑談の時間を設けた。結果、成績が上がった」「サークルの幹部になったが、メンバーが積極的に活動に参加してくれずに苦労した。一人ひとりと話し合うことで、チームの結束を取り戻した」「留学先で……」など、こうしたエピソードは就活生がみな語るものです。差別化しようと一生懸命考えているのですが、採用担当者は、何年間も同じ内容のエントリーシートを読み続けています。小手先の差別化は、差別化にならないのです。
他の就活生とは違うエントリーシートを書くためには、どうしたらいいのでしょうか。かつて大手企業人事部において採用を担当していたキャリアアカデミーの講師は、「差別化の差別化」を意識することが大切だと言います。