ライフ

猫のがん原因に飼い主のたばこも、5~6才以降は発症率高まる

もしも愛猫が“がん宣告”されたら…(Ph:Getty Images)

 たばこの煙にさらされた猫や犬は、がんの発症リスクが高くなる――。2015年、イギリス・グラスゴー大学の獣医学者らが、受動喫煙によるペットの健康被害についての研究結果を発表した。それによると、飼い主の喫煙本数が1日10本以下でも、たばこの煙に触れている猫の血液中のニコチンレベルは、非喫煙家庭の猫に比べて明らかに高かったという。

 もちろん、がんの原因はたばこの煙だけではない。近年、ペットの高齢化が進んでいるが、その分“ペットのがん”も増えていると、白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問の獣医師・佐藤貴紀さんは言う。

 そもそもがんとは、突然変異を起こした細胞(がん細胞)が増殖し、体に悪影響を及ぼす病気のこと。がん細胞が増殖しすぎると体の組織や臓器が機能しなくなり、最終的に死に至る。

「がんが発生する部位は、人間と同じでほぼ全身。5~6才(人間の年齢で換算すると36~40才)以降、急激に発症率が高まることもわかっています」(佐藤さん・以下同)

 がんに侵されていても、初期は症状がわかりづらく、発見が遅れることも多いという。

「皮膚がんや乳腺腫瘍の場合、しこりで気づくこともあります。しこり=がんではありませんが、しこりを見つけたらなるべく早く動物病院を受診してください」

 動揺してしまうだろうが、まずは落ち着くことが大切。そして「がんの進行具合」「年齢に応じた治療法の相談」「治療費」などを整理しよう。判断が遅くなるほど、がんは進行する。医師から要点を聞いたら、なるべく早く今後について決断すること。

 治療法は主に、【1】手術【2】抗がん剤治療【3】放射線治療の3つ。それぞれの治療法のメリット・デメリットは次の通り。

【1】手術
 すべてのがん病巣を取り除き、他の部位への転移もなければ完全治癒できるため、がん治療として最も効果が期待できる。一方で、麻酔のリスクと免疫力低下による二次的な障害が懸念される。

【2】抗がん剤治療
 麻酔などのリスクを伴わず病気の治癒が見込めるが、体への負担が大きく、耐えられないこともある。

【3】放射線治療
 手術で切除できない部分のがんにも効果があり、諦めなければいけなかったがんにもアプローチできる。しかし、全身麻酔が必要になることがほとんどで、治療回数も月2回程度と、体力面・経済面の負担が大きい。

 がんの治療は、主にこれら3つの治療法を、進行度や体力などを考慮しながら組み合わせて行う。

 また獣医学も日々進歩しており、治療の選択肢は増えているという。では、がんを防ぐにはどうしたらいいのか?

「乳腺腫瘍に関しては、避妊手術を受けることでできにくくはなりますが、現段階でがんを100%予防する方法はありません」

 がんの治療には、早期発見・早期治療が大事となる。そのためにも、日々の健康状態のチェックや定期的な健康診断、そして猫と同じ空間でたばこは吸わないなどの配慮を忘れてはいけない。

 愛猫の健康を守れるのは飼い主しかいないのだから。

※女性セブン2019年4月11日号

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

還暦を過ぎて息子が誕生した船越英一郎
《ベビーカーで3ショットのパパ姿》船越英一郎の再婚相手・23歳年下の松下萌子が1歳の子ども授かるも「指輪も見せず結婚に沈黙貫いた事情」
NEWSポストセブン
ここ数日、X(旧Twitter)で下着ディズニー」という言葉波紋を呼んでいる
《白シャツも脱いで胸元あらわに》グラビア活動女性の「下着ディズニー」投稿が物議…オリエンタルランドが回答「個別の事象についてお答えしておりません」「公序良俗に反するような服装の場合は入園をお断り」
NEWSポストセブン
志穂美悦子さん
《事実上の別居状態》長渕剛が40歳年下美女と接近も「離婚しない」妻・志穂美悦子の“揺るぎない覚悟と肉体”「パンパンな上腕二頭筋に鋼のような腹筋」「強靭な肉体に健全な精神」 
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《還暦で正社員として転職》ビッグダディがビル清掃バイトを8月末で退職、林下家5人目のコンビニ店員に転身「9月から次男と期間限定同居」のさすらい人生
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された佳子さま(2025年8月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《日帰り弾丸旅行を満喫》佳子さま、大阪・関西万博を初訪問 輪島塗の地球儀をご覧になった際には被災した職人に気遣われる場面も 
女性セブン
鷲谷は田中のメジャーでの活躍を目の当たりにして、自身もメジャー挑戦を決意した
【日米通算200勝に王手】巨人・田中将大より“一足先にメジャー挑戦”した駒大苫小牧の同級生が贈るエール「やっぱり将大はすごいです。孤高の存在です」
NEWSポストセブン
侵入したクマ
《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」
NEWSポストセブン
山田和利・裕貴父子
山田裕貴の父、元中日・山田和利さんが死去 元同僚が明かす「息子のことを周囲に自慢して回らなかった理由」 口数が少なく「真面目で群れない人だった」の人物評
NEWSポストセブン
8月27日早朝、谷本将志容疑者の居室で家宅捜索が行われた(右:共同通信)
《4畳半の居室に“2柱の位牌”》「300万円の自己破産を手伝った」谷本将司容疑者の勤務先社長が明かしていた“不可解な素顔”「飲みに行っても1次会で帰るタイプ」
NEWSポストセブン
国内未承認の危険ドラッグ「エトミデート」が沖縄で蔓延している(時事通信フォト/TikTokより)
《沖縄で広がる“ゾンビタバコ”》「うつろな目、手足は痙攣し、奇声を上げ…」指定薬物「エトミデート」が若者に蔓延する深刻な実態「バイ(売買)の話が不良連中に回っていた」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
【美しい!と称賛】佳子さま “3着目のドットワンピ”に絶賛の声 モード誌スタイリストが解説「セブンティーズな着こなしで、万博と皇室の“歴史”を表現されたのでは」
NEWSポストセブン
騒動から2ヶ月が経ったが…(時事通信フォト)
《正直、ショックだよ》国分太一のコンプラ違反でTOKIO解散に長瀬智也が漏らしていたリアルな“本音”
NEWSポストセブン