◆胃カメラに映らない
医師にとっても、上皮にできるがんに比べ、間質の壁の中にできる間質性がんでは、同じ検査を行なっても診断が難しい。
「どちらも胃カメラ(内視鏡)や造影検査が発見の手段となります。ただし、通常の胃がんではがん細胞ができた上皮(粘膜)の表面が爛れるという異常が見られるのに対し、GISTは粘膜の表面が綺麗なまま進行する。そのため腫瘍がかなり大きくなってからでないと見逃されるケースがあります。
腫瘍が2cm以内のうちに見つかれば早期発見といえますが、10cm以上になってしまうと、再発・転移のリスクが非常に高くなり、寛解が難しくなってしまうのです」(同前)
病変が発見された場合、外科手術が第一選択肢となるが、転移が認められる場合には、分子標的薬などの抗がん剤投与も必要になる。
GISTの原因を、「カハール介在細胞」の遺伝子の突然異変であると突き止めたのは、前出・廣田医師だった。近年になってこの遺伝子を対象にした分子標的薬が開発され、再発・転移があった場合でも、「患者の5年生存率は飛躍的に向上している」(廣田医師)という。
「間質ががんの原因になるだけでなく、通常のがん細胞の発生に間質が関連しているのではないか、という研究も進められています」(同前)
※週刊ポスト2019年4月19日号