それでも、サックスを吹き「フェミ男」と称されていた彼と今の彼には共通点がある。「ナルシシズム」だ。自分にある程度の愛情や関心を抱くという部分では、今と昔で表し方や見せ方が違っているだけで、本質的な部分は変わっていないのだろう。黙々と筋トレをする動きには無駄がない。機械のような正確な動きは見惚れるほどだ。それだけに、鍛え上げられたあの筋肉には関心してしまう。また、その筋肉も筋骨隆々という印象ではない。フェミ男と呼ばれた彼らしく、たくましさより美しさ、女性にも受け入れられる筋肉美なのだと思う。
昨年の『第69回NHK紅白歌合戦』では天童よしみのステージに登場、赤いタンクトップと短パンで筋肉体操を披露した上に、得意のサックスを吹いて話題になった。今年1月の『芸能界特技王決定戦TEPPEN2019冬の陣』(フジテレビ系)でも、ベンチプレス109回という驚異的な記録を達成し、再びネットをざわつかせた。最近は、ストイックな筋トレと独特のキャラで様々な番組に引っ張りだこである。
筋肉美に憧れる時代だからこそ、思わず彼の美しい身体にみんなの目が行く。わかりやすい魅力は人を惹きつける効果が大きいのだ。
そんな彼は、『ノンストップ』(フジテレビ系)で筋トレについて「自らの肉体を追いこんでいかないと、人の気持ちがわからない奴になっちゃう」と、不思議な「筋肉理論」を展開。他の番組でも、いきなり腕立て伏せをやってみたり、マニアックでストイックでナルシステックな一面を覗かせたりと、なかなか不思議で掴みどころがない。昔から良く言えば「ミステリアス」、悪く言えば「危ない」感じはしたのだけれど、それが少々加速気味な気がする。
だが、このミステリアスで危なくて、よくわからないという不思議さは人を惹きつける要素でもある。武田さんは本当はどういう人なのか? 今度は何をするのか? すっきりとわからない中途半端感や、何をするのかわからない意外性が彼の魅力でもある。わかりやすい魅力的な外見と、わかりにくいミステリアスな内面の二重効果が、彼の魅力なのだろう。
令和の時代、想像も予想もできない彼の活躍が楽しみだ。