あるいは、NHK連続テレビ小説『なつぞら』でお茶の間に新しい魅力を知らしめたのがウッチャンナンチャンの内村光良さんです。声を張らず自己主張せず。物語の筋の説明よりも、ふわっと全体を見守るような、ほんのりとした暖かい口調。内村さんのナレーション力がこんな豊かだったの、と驚かされた人も多いのでは?
そして一話の終わりに必ず、呼びかけるようなナレーションが入りますが、こちらも余韻を残します。
「なつよ、思いっきり泣け」「なつよ、一体どこへ揺られてゆくよ」「今もお前と一緒にいるよ」
第9話になって初めて、その正体が亡くなったなつの父親であることが明かされました。そうなのです。あの投げかけは娘の背中へ投げる愛のエール。迷った時の道しるべ。ウッチャンの新たな魅力を、その声の中に発見した気がします。
一方、終わったばかりの深夜ドラマ『デザイナー渋井直人の休日』(テレビ東京系)もそう。オシャレでちょっぴり“痛い”中年独身デザイナーを演じた光石研さん。その愛らしさがサプライズを呼び起こしました。光石さんといえば大ベテランのバイプレイヤー、俳優歴は40年。しかし連ドラの単独主演は初めて。50過ぎてもまだまだ新しい魅力を発掘できるのが芝居という世界の豊かさであり、面白さでしょう。
さあ続々と始まる春のドラマでは、役者たちの新たな魅力をどれくらい見つけることができるでしょうか? サプライズ、待ってます!