事前の打ち合わせ、長時間の撮影と常に仕事に追われている3人。ロケバスに戻ってきた瞬間に心が緩む。イスに腰掛ける際、皆一様に「ウバァアア~」といった息を漏らす。

 この姿を観て、思わずニヤニヤしてしまう。僕も30歳を超えてから、ムダな息を漏らしがち。重いものを持って「ウバァアア~」、風呂に入って「ウバァアア~」、3人と同様にイスに腰掛けても「ウバァアア~」。「ゴローちゃんも剛も慎吾ちゃんもやっぱり人間なんだなぁ」と妙に嬉しくなった。オッサンを隠さない感じが清々しい。

 こういった移動トークは、これまでのバラエティ番組でも存在していなかったわけではない。でも、それらは明らかに「オン」の状態であって、芸能人として番組に出ている顔からはみ出ない。例外は、テレビ東京で放送されていた『ローカル路線バスの旅』に出演していた蛭子能収くらいか。蛭子さんほどではないかもしれないが、心地よいカメラを無視した自由な言動を3人は見せてくれる。

『7.2 新しい別の窓』は振れ幅がある番組だ。ロケバスでオッサンが漏れる3人もいれば、一般人とはやっぱり異なるスーパースターの3人もいる。僕はそんな後者も好きで、“スーパースター×一般人=騒動”が面白い。

 4月7日の配信分のゲストは俳優・斎藤工。彼の希望から目黒川で花見をすることになった3人。当然、そのやりとりも生配信される。よって、4人が目黒川に到着する頃には元々いた花見の見物客と集まったファンで大パニック。人垣をかき分けて、目的地のカフェまで移動するプチ民族大移動。忙しく歩きつつも一般人に対応する。『7.2 新しい別の窓』では事故の危険性を顧みず、わざわざ人混みに足を運ぶ。今まで応援してくれた人達へのお礼参りのごとく。

 カフェに到着しても交流は続く。香取の要望で稲垣が露天に買い出しへ。串こんにゃくを売る露天商が仕事を忘れ、写メを撮り続けることに稲垣が「ちゃんと仕事して!」と声を荒げる。スーパースターが一般人とわちゃわちゃ絡む様子、これも生配信だからこそ!

 SNSを通じて視聴者と3人とつながる「世界初のSNSバラエティ」と銘打たれた『7.2 新しい別の窓』。しかし、SNSを通じて3人とファンは直に交流はしない。ツイッターでリプライを返してくれることもない。一般人に出来ることは番組中に撮影された写真を見ることぐらいか。各人によってSNSの考え方は異なるとは分かっているが、ココだけは未だにしっくりこない。

 この番組の本質は、寧ろSNSではなくリアルでの交流にあると思う。3人が街を闊歩しながら一般人と戯れる。ほとんどがムシされるが(仕方ない)、運が良い人は会話が数ターン続く。このスーパースターの気まぐれがたまらない。今回も香取が若者に「誰と来たの? え、彼女と良いね!」と妙に盛り上がっていた。

 テレビでずっと見ていたスターがもし目の前に現れたら。

 ふと、繁華街を歩いていたら稲垣、草なぎ、香取とすれ違うかも。

 そんな一般人の妄想を『7.2 新しい別の窓』は体現している。やらせがない分、本当の意味で『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』的。正直、SNSはどうでもいい。新しい地図の3人には、もっと一般人とわちゃついて欲しい。

 先日、香取慎吾の日本初個展『BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)』を鑑賞してきた。正直、香取のアートの良さが僕には理解できなかった。香取自身とファンに向けた描かれているように感じる。そんな作品群はにわかには難しい世界観だった。

 SMAP解散以降、民放テレビに出演できないことによって3人の人気はタコツボ化している。香取が描く絵には、良くも悪くもそんなマニアックな魅力があった(ファンは超グッとくるハズ)。

 芸能活動はどのように動いていくのだろうか。『7.2 新しい別の窓』も現段階ではファン向けの番組に仕上がっている。今後、もっとコアにしていくのか。それとも、もっとわかりやすい内容にするのか。また、現状維持を続けるのか。今後も3人のスーパースターの動向に注目していきたい。

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