スポーツ

釜本邦茂氏「三浦カズには還暦まで現役を続けてもらいたい」

98年W杯出場を決めた直後のカズ(AP/AFLO)

 サッカー日本代表への課題として長年、言われることのひとつに「決定力不足」がある。勝利するための攻撃や、ここぞ!という場面で得点する力が足りないことを指しているのだが、それは、フォワードにふさわしい選手が不足していることを同時に表してもいる。1968年メキシコ五輪で日本人初の得点王となった、“日本史上最高のストライカー”、とも称され、元日本サッカー協会副会長の釜本邦茂氏が認める「日本初のフォワード」は、52歳の今も現役を続ける三浦知良だ。以下、釜本氏が語る。

 * * *
 カズがヴィッセル神戸時代にこんな話をしたことがあります。練習中、カズが先頭でランニングしているので、「なんでベテランのお前が先頭を走らなアカンねん」と聞くと、「僕が後ろで走っていては、前を走るやつがいませんから」と返してきた。常に若い選手の手本に──なかなかできることではありません。

 この言葉通り、カズはこれまで長きにわたって日本のサッカー界をリードしてきました。15歳で単身ブラジルに渡り、プロの門をくぐって個人技を習得。当時、日本人で個人技を持った唯一のプレーヤーだったと思います。私が初めてカズをじっくり見たのは、1993年にJリーグが発足し、私がガンバ大阪の監督としてヴェルディ川崎と対戦する時。器用な選手が出てきたなと思いましたね。それでいて決定力もあるから厄介でした。

 当時、日本にはテクニックを持ったフォワードはいませんでした。僕らの時代なんて典型的で、前線で待っていると味方からパスが通って、そのままゴールにシュートを放っていただけで、細かいテクニックなんてなかった。カズは背中でパスを受けられる、それまでの日本にはいないフォワードでした。

 オールラウンドプレーヤーという表現の方が近いかな。ボールを受ける時に体を入れて相手を抑えて、自分でボールを持って上がっていき、シュートまで放てる。特別スピードがあるというわけではないが、放っておいたらやられるということで、徹底的にマークさせました。得点すると披露するカズダンスも含めて、古い人間からしたら異様でしたね(笑い)。

 日本をW杯に連れていってくれるかな、という期待を持たせてくれる選手でした。実際、1994年の米国W杯に向けた予選では、1次予選では9ゴール、最終予選では4ゴールとエースとして活躍をみせ、最終予選最終戦のイラク戦でロスタイムに同点にされた「ドーハの悲劇」がなければ本戦に出られたわけだから。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン